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イベントレポート

すごーい!あたまわるーい!知恵の芽を摘む「頭の悪いメカ発表会2」

日進月歩のテクノロジーから振り落とされた人々による、何の価値も持たないバカ工作を発表するイベント「頭の悪いメカ発表会」。
2016年夏に開催した第1回が好評を博し、およそ半年の時を経て2017年3月25日に第2回が開催されることとなった。舞台となるイベントスペース「東京カルチャーカルチャー」の移転に合わせ、今回は東京のど真ん中・渋谷で開催。頭の空っぽさを反映したような、すがすがしいまでの快晴に見守られ、前回同様満員御礼の人気ぶりだ。

お台場から渋谷に移転した東京カルャーカルチャー お台場から渋谷に移転した東京カルャーカルチャー

来場者の層は幅広く、なかには中学生くらいのお子さんを連れた家族の姿も見える。イベントの開始に先立ち、会場のスクリーンには出演者たちの製作した映像が流れ、ヘボコンの映像を見ていた男性からは「予想以上にヒドいな…」と最大限の祝辞が漏れていた。

定刻となり、メンバーがステージに登場。世の中にダークマターを産み落とし続けるメンバーは以下の通り。

  • 石川大樹(ヘボコン主催・デイリーポータルZ編集)
  • 爲房新太朗(デイリーポータルZライター)
  • てらおか現象(マンガ家、fabcrossライター)
  • 藤原麻里菜(Youtuber)
  • マンスーン(ハイエナズクラブ、オモコロ等ライター)
司会:越智岳人(fabcrossウェブマスター)

もはやバカ工作界隈では笑点のような安定感のある面々。なお、前回出演の森翔太さんは多忙に付き欠席。後ほど紹介する映像制作という形で残留思念のように関わることとなった。

マンスーン

まずはメンバーたちの近況報告からスタート。オモコロなどで活躍するマンスーンさんはあらゆるおもちゃのモーターを増強させる高速化にハマっているとのこと。

マンスーン

「顔が取れても意外と元気だなぁ、って」

しょっぱなからまさにエンジン全開である。既存の製品を狂わせる「魔改造」ともいうべき作風は、「黒ひげ危機一髪」を増築して2400本の剣で遊べるようにした作品にも当てはまる。

マンスーン

「このために楽天のすしおけを全部買い占めました」

藤原

「デカいものを作る勇気がすごい」

石川

「そう、勇気。技術としては穴を開けただけ」

マンスーン

「これはおつりが出るさい銭箱。財布に5円玉がないときの問題を解決しました」

石川

「1000円札とか入れてもおつりが出るんですか?」

マンスーン

「いや、それはー、、、まだちょっと。今後改良していきたいです」

石川

「たいていの人が「今後改良したい」って言うんですよね」

越智

「本当に改良してるヤツを見たことがない」

藤原麻里菜

続いてのプレゼンターは、当サイトの企画で製作したマシーン「会社を休む理由を生成できるマシーン」が10万リツイート(RT)を超える大バズりを見せている藤原麻里菜さん。この大ヒットにはある兆候があったと語る。

藤原

「記事を公開する前に、ピコ太郎と一緒にエレベーターを昇る夢を見たんですよ。今思えば、この縁起の良さはバズの予知。『My Favorite Video』とか言ってジャスティンビーバーに紹介されるかも」

石川

「ジャスティンにたどり着く前に、まずは国内の糸井重里とかきゃりーぱみゅぱみゅでステップを踏んでいきましょう」

藤原さんが手掛けるYouTubeチャンネル「無駄づくり」 は設置から4年目。 工学部に入った大学生が卒業するほどの時間がたち、本人曰く技術も向上してきたとのことだが果たして。早速、最近の作品を見てみよう。

藤原

「家で働かずにダラダラしているヒモ男を養いたいんですけど、私は貯金が2000円しかない。そこで、1万円札を2枚いれると抱き着いてくれる『ヒモ貯金箱』を作りました」

石川

脳が飛び散りましたよ今!

藤原

「中身は見えちゃうんですよ」

越智

「けっこう献身的ですね」

「『www』とタイピングしたときの顔が相手に送られるデバイス」 では、SONYのIoTデバイスMESHやFacebookメッセンジャーとの連携など、今までよりも高度な技術を用いてネットスラングの裏側にある真顔を明らかにすることに成功。たしかに著しい進歩だが、「www」の検知のためにキーボードに直接スイッチをつけるなど、細部の粗さが際立っている。

石川

「なんで一度物理的な空間を経由するんだろう。モーターでスマホを動かして撮影してるけど、そもそもPCにカメラ付いてるし」

藤原

「PCカメラの制御も調べたんですけど、プログラムとか難しくて頓挫しました」

石川

「じゃあまた4年後くらいですね」

爲房新太郎

3番手はデイリーポータルZでライターを勤める爲房新太郎さん。前回に引き続き黒ひげ危機一髪から飛び出す「黒ひげ安全装置」を持って登場した。

マンスーン

「みんな黒ひげが気になるんですよね」

石川

「爲房さんの作品が話題になるまで忘れてたでしょうに」

藤原

「よく見るとびっくりですよ。スポンジがセロハンテープで止まってる」

アームもゆがんで老朽化する黒ひげ安全装置を心配しつつ、次いで「パソコンが便利すぎることに不安を持ち始めて作った」という、人類の進歩に立ち向かう作品が紹介された。

不意にアームをキーボードに振り下ろして文章作成を邪魔するマシン 不意にアームをキーボードに振り下ろして文章作成を邪魔するマシン
石川

「これもまた物理だ。電気的なノイズとかじゃない」

爲房

「でも、邪魔する様子はよくわかりますよ」

越智

「わかったから何なんだ」

そのほか、顔ハメ写真を自動で作る装置や、ガスター10のCMを再現するガジェット(?)が紹介された。

爲房

「ただ、顔ハメパネルとかメカじゃないんですよね。強いて言うなら板がメカ。ガスター10だとバネ。」

石川

「バネはメカですよ!」

石川大樹

司会もこなす石川さんは、「肩をトントンして振り向いた相手のほほに指をあてる装置」「ホワイトボードのマーカーを早く乾かす装置」を紹介。自分の頭が悪いだけでは飽き足らず、他の人まで巻き込んだ嫌がらせが進行しているが、何かの罪には問われないのだろうか。

石川

「ペンは何パターンか用意して、乾く速さを比較実験しました。」

越智

「Eテレとかでよく見るやつですね」

乾くのを待つこと一晩(!)。しっかりとかすれた光景に、会場からは惜しみない拍手が送られた。誰もが既存の価値観から離脱し始めている。

ところで、前回のイベントをきっかけに、出演メンバーが「DJみそしるとMCごはん」のミュージックビデオ「The Gang Eat More」に登場したのをご存じだろうか。

バカ工作と日本語ラップの不思議なコラボレーション。料理をテーマにしたバカ工作というお題に対し、石川さんが作成したのは「フライドポテトシェーカー(般若心境を添えて)」。明らかに後半がおかしいが、つまりこういうことらしい。

石川

「いつまでも人間がポテトを振っているのはおかしい。ついでにありがたいお経も表示させておきました」

藤原

「DJとかで使えそう!欲しくなってきた」

石川

「あげますよ」

越智

「反応が食い気味でしたね」

てらおか現象

ラストはfabcrossなどで工作漫画を掲載しているてらおか現象さん。パワーポイントがないので作業画面をそのまま投影するというライブ感あふれる方式でプレゼンが進んだ。

最近のスマッシュヒット作といえば、「コアラのマーチの絵柄を消すマシン」。実はこのマシンの原型は、第1回のイベントで披露されていたもの。当時の手作り感あふれる状態から、総3Dプリントの完成品への正統進化を感じてほしい。

第1回イベントで披露されたプロトタイプ 第1回イベントで披露されたプロトタイプ
越智

「ちゃんとバージョンアップしてる人がいましたよ!」

 

会場「(拍手)」

てらおか現象

「でもこれ、絵柄を水で溶かしてるから味はクソまずいんですよね」

越智

「今日もロッテの方来てないですよね?」

漫画の中でも語られているように、てらおかさんは元々おもちゃ会社で設計の仕事をしており、実は漫画家よりも工作の歴史のほうが長い。その経験は作品にも反映され、歯車などの機構がふんだんに取り込まれているのだが…。

てらおか現象

「『片手でモンスターボールを投げるための装置』のなかに『スコットラッセルの厳選直線運動』ってあるんですけど、実は間違えてるんですよね。厳選じゃなくて厳正。ほかのマンがでもいくつかミスがありました」

石川

「わざわざ書いたうえで間違える」

越智

「動きに気を取られて誰も文字を気にしてないんですね」

 

これにて近況報告は終了。前回の開催から約半年のあいだ、世の中に無駄が生まれ続けてきたことが分かっていただけただろう。しかし、イベントはまだまだ始まったばかり。頭のギアをハメなおしてついてきてほしい。

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