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イベントレポート

ハードウェア開発に求められる“やわらかさ”——IoT女子会でみたMaker時代を支える女性の姿

2017年9月14日、東京都港区六本木にあるDMM.com本社のイベントスペースで、IoT分野において世界を舞台に活動する女性たちによる「 IoT女子会~IoT×海外事情 フランス・イタリア編~DMM Special」が開催された。様々な業種の女性が集まり、女性ならではの視点で海外の女性スタートアップの実情や、今後のIoTプロダクトに求められる意識を登壇者が語った。

IoTスタートアップ市場で活躍する女性たちの姿

年々新しいIoTプロダクトがリリースされ多くのハードウェアスタートアップが名乗りをあげるMaker時代、IoTスタートアップ市場で必要とされている人材はエンジニアだけではないと語るのは総合型モノづくり施設DMM.make AKIBAのコミュニティマネージャー・上村遥子氏だ。

DMM.make AKIBA コミュニティマネージャー・上村遥子氏 DMM.make AKIBA コミュニティマネージャー・上村遥子氏

IoTに関連したスタートアップや新規事業を狙う大手メーカーが集まるDMM.make AKIBAは、2017年4月フランスで開催されたヨーロッパ唯一のIoTプロダクト専門展示会「SIdO(Le showroom de l’intelligence des objets)」に日本のスタートアップチームと出展、そこで日本の技術を伝えると共に多くのフランスのスタートアップと出会う機会に恵まれた。

フランスでは2014年から「La French Tech」と称し、スタートアップを支援するエコシステムを展開するプログラムを政府主導で実施している。このプログラムでは日本を含め海外に拠点を構え、海外進出のフォローアップはもちろん、各国のスタートアップをフランスへ誘致することにも力を入れている。

例えば、フランス国外のスタートアップがフランスに拠点を移した場合に、スタートアップに所属するメンバーの家族にも滞在許可が出るほか、助成金、滞在費補助など手厚い支援を受けることが可能だ。こうした背景から技術力の高い起業家がフランスに集まり他にはないIoTスタートアップのネットワークを形成しており、その中で多くの女性たちの活躍している。

女性が活躍する領域はエンジニアに限らず、SIdOを始めたCobees.の2人の女性起業家をはじめ、プランナー、デザイナー、マーケター、営業など様々な形でフランスのIoTスタートアップ市場を盛り立てているそうだ。現在フランスの新規雇用のうち58%がスタートアップによるもので、成長している強力なコミュニティの勢いそのままに、国際家電見本市「CES 2017」で多くのフランス発スタートアップが出展し、世界中を驚かせたことは記憶に新しい。

女性同士がフォローしあえるコミュニティのおかげで、環境の変化に敏感な女性たちが安心して新規事業に取り組み、活躍できる環境がフランスの躍進を支えているという。

開発にやわらかさを取り入れる

国際家具見本市「ミラノサローネ 2017」でパナソニックが展示した、「Panasonic Design × GO ON」“Electronics Meets Crafts:”。エレクトロニクスと伝統工芸の高い技術力や美意識を発信するインスタレーション にエンジニアとして技術協力したtechika代表の矢島佳澄氏。西陣織の「細尾」の技術でつくられた金銀糸の織り込まれた生地の通電性を利用し、生地そのものをタッチセンサー化し、触れると音が流れるプロトタイプの開発に携わった。

彼女はこれまでに「柔らかいハードウェア」をテーマに、“カップうどんを食べると光るライト”や、“USBコネクタにさしこむと生き物のようにうごめくプラグ”などを開発した。また、乙女電芸部として「見た目のかわいらしさを重視し、使っていてテンションの上がるものを」というコンセプトで、布やビーズなどを用いて作る電子工作活動やワークショップを行なっている。

USBポートに差し込むと生き物のように動くプロダクト「plugged-in animals」 USBポートに差し込むと生き物のように動くプロダクト「plugged-in animals」

そうした活動をするなかで矢島氏が感じるのは、これからIoT分野でより注目が高まっていくのは“モノとモノの通信”ではないかという。

例えば、育てている植物の水分がどれぐらい足りていないか、植物がプロダクトを通じて発信するといったように、モノ自身が主となりモノを用いて人に伝えるようなプロダクトが増えていくのではないかと考えている。その際に重要なことは“やわらかさ”を取り入れることだという。これまで女性が普段の生活のなかで使うことを想定したプロダクトの多くは“かたい”印象で生活に溶け込みづらいモノが多かったと矢島氏は指摘。しかしそういったプロダクトは使うことで人の心を豊かにする見た目であり体験が必要で、そのために質感や印象にやわらかさを取り入れることがキーポイントになるという。

合同会社techika・代表の矢島佳澄氏 合同会社techika・代表の矢島佳澄氏

女性にとって「一般的なIoTプロダクト」を切り開くには

人をとりまくIoTには、身につけるもの、家や町中に設置して状況を伝えるもの、また工場に導入して生産性を高めるものなど多くの種類があるが、人々の暮らしに広く受け入れられているプロダクトはまだまだ少ない。そうした中で、家庭用IoTプロダクトとして注目を集めているAmazon EchoやGoogle Homeといったスマートスピーカーが普及することで、家庭にIoTプロダクトが活用するシーンも増えていくだろう。そういった中で女性に受け入れられるプロダクトを作ることができるのは、女性ではないかと登壇した彼女たちは語った。

「エンジニアに限らず色々な立ち位置の女性の手で、女性に受け入れられるプロダクトを作ってみよう」と呼びかける、矢島佳澄氏(左)、モデレーターの徳山由佳氏(中)、上村遥子氏(右) 「エンジニアに限らず色々な立ち位置の女性の手で、女性に受け入れられるプロダクトを作ってみよう」と呼びかける、矢島佳澄氏(左)、モデレーターの徳山由佳氏(中)、上村遥子氏(右)

例えば家族の暮らしを支える母親がおいしい料理を作るときや裁縫するときに、暮らしの中で体験した出来事を契機に必要に感じたものを女性自身が作り出していくことでそれが共感を呼ぶIoTプロダクトが誕生するきっかけになっていくのかもしれない。

まだまだ女性の少ないIoT分野において、これから挑戦していきたいと考える女性の想いをサポートするべくIoT女子会のコミュニティの設立が予定されているとのこと。コミュニティへの参加はイベント参加者に限られるが、今後もイベントは定期的に開催予定だ。開催情報については、DMM.make AKIBAのfacebookページで案内されるのでチェックしてみよう。

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