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情の時代にテクノロジーはどう寄り添うか——「あいちトリエンナーレ2019」(名古屋市/豊田市)

愛知県で3年に1度開催される国際的な現代アートの祭典として毎回注目を集め、アートにとどまらず、ダンスや演劇などさまざまなジャンルで楽しむことのできるイベント『あいちトリエンナーレ2019』が2019年10月14日まで愛知芸術文化センターを中心に名古屋市と豊田市の計4エリアで開かれている。

アートには未来のデザインやテクノロジーのヒントがある

今回のテーマは「情の時代」、メインビジュアルは情報が行き交うイメージだろうか。名古屋市、豊田市に展示スペースが点在している、この配色の看板を目印に会場を回ろう。 今回のテーマは「情の時代」、メインビジュアルは情報が行き交うイメージだろうか。名古屋市、豊田市に展示スペースが点在している、この配色の看板を目印に会場を回ろう。

いろいろと話題な今回のあいちトリエンナーレ。一つの作品の展示中止がきっかけとなり「表現の自由」について主催者側、アーティスト側の思いが交錯し、残念ながら現在も展示が中止されている作品が数多くある状況だ。これはアート業界だけのお話ではなく、センサーなどで情報を取得し、表現やものづくりをする我々にも関わる出来事だ。もし本記事を読んで興味を持ってもらえるなら、展示作品の数が少なくてもその現状も踏まえて足を運んでみてほしい。本記事では現在展示されている作品の中からfabcross読者向けの、テクノロジーや造形的にユニークな作品を紹介しようと思う。

「The kiss」エキソニモ:私たちはその時々の状況によって、瞬時にあるものを別の何かに見立てることがある。モニターに映る人はキスをしているのか? この作品の前に立ったとき、来場者は何を見立てるのだろう。 「The kiss」エキソニモ:私たちはその時々の状況によって、瞬時にあるものを別の何かに見立てることがある。モニターに映る人はキスをしているのか? この作品の前に立ったとき、来場者は何を見立てるのだろう。
特大の3Dプリンターで出力された2本の巨大な手は、fabcrossでも「自作3Dプリンタをくみ立てよう」などの企画で協力してくれているMagnaRectaが制作したものだ。エントランスにドンと展示されたこの作品は今回のトリエンナーレの顔とも言える。 特大の3Dプリンターで出力された2本の巨大な手は、fabcrossでも「自作3Dプリンタを組み立てよう」などの企画で協力してくれているMagnaRectaが制作したものだ。エントランスにドンと展示されたこの作品は今回のトリエンナーレの顔とも言える。
「Stranger Visions, Dublin: Sample 6」ヘザー・デューイ=ハグボーグ 「Stranger Visions, Dublin: Sample 6」ヘザー・デューイ=ハグボーグ

以前イベントレポートでも紹介したこの作品があいちトリエンナーレでも展示されている。ニューヨーク市の街頭で収集した煙草の吸い殻、チューインガムからDNAサンプルを取り出しそれに基づいて3Dプリントされた肖像のシリーズだ。

「Invisible」ヘザー・デューイ=ハグボーグ:二つのスプレー製品からなる作品で、DNAの痕跡を99.5%削除する物と、生物の体内に存在する化学物質をノイズで覆い隠す物だ。近い将来オンラインで個人情報を収集するのと同じくらい、遺伝子情報を収集することが一般的になるだろうことを示唆している。 「Invisible」ヘザー・デューイ=ハグボーグ:二つのスプレー製品からなる作品で、DNAの痕跡を99.5%削除する物と、生物の体内に存在する化学物質をノイズで覆い隠す物だ。近い将来オンラインで個人情報を収集するのと同じくらい、遺伝子情報を収集することが一般的になるだろうことを示唆している。
「原子力の時計」スチュアート・リングホルト:今から約10億年先まで時を刻む時計。10億年後には一日が34時間になるほどにまで地球の自転速度が低下していると予測されている 「原子力の時計」スチュアート・リングホルト:今から約10億年先まで時を刻む時計。10億年後には一日が34時間になるほどにまで地球の自転速度が低下していると予測されている
「町蔵」岩崎貴宏:蔵の中に積み上げられたたんすや、家具などで作られた細い通路をくぐり土間から一段上がると、炭の黒色で覆われた地平が現れ、空襲を受けた戦後の名古屋の風景を想起させる。 「町蔵」岩崎貴宏:蔵の中に積み上げられたたんすや、家具などで作られた細い通路をくぐり土間から一段上がると、炭の黒色で覆われた地平が現れ、空襲を受けた戦後の名古屋の風景を想起させる。
同じ空間にはテレビ塔や円頓寺商店街のアーケードなど、大戦後に作られた構造物も並んでいる。作家は現在の世界の状況は戦後というだけではなく、戦前とも捉えられると言っている。この風景が来場者の目にどう映るのだろう。 同じ空間にはテレビ塔や円頓寺商店街のアーケードなど、大戦後に作られた構造物も並んでいる。作家は現在の世界の状況は戦後というだけではなく、戦前とも捉えられると言っている。この風景が来場者の目にどう映るのだろう。

「あいちトリエンナーレ2019」
会期:2019年8月1日(土)~2019年10月14日(月)
※開館時間は各会場により異なる
会場:愛知芸術文化センター(愛知県名古屋市東区東桜1丁目13−2)を含む名古屋市と豊田市の4エリア
入場料:1DAYパス:一般1600円、大学生1200円、高校生600円、フリーパス:一般3000円、学生、2300円、高校生1100円
休館日:月曜日(祝休日は除く)
オフィシャルサイト:https://aichitriennale.jp/index.html
主催:あいちトリエンナーレ実行委員会

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