Fabbleの使い方
FabbleはクリエイターのFacebook——授業でFabbleを使ってみて
慶應義塾大学SFCソーシャル・ファブリケーション・ラボは、オープンソースのウェブブラウザ「Firefox」を開発するMozillaの日本法人「Mozilla Japan」が中心となって開発を進めているオープンソースハードウェア向けドキュメント共有エンジンをベースに、2015年1月に「Fabble」というWebサービスを実験的に開始しました。ものづくりの手順と記録を共有する機能があり、大学でのレポートやハッカソン、ワークショップでの利用を想定して、現在もさまざまな開発が進められています。本連載では、そのFabbleの開発に携わった方たちが開発の背景や利用シーンなどを解説。日本発のものづくり共有サービスについて紹介します。今回は授業での利用ケースを慶應義塾大学生の樋山理紗さんが紹介します。(編集部)
慶應義塾大学環境情報学部4年生。2013年にカーネギーメロン大学に留学、デザインを実践的に学ぶ。帰国後は中西泰人研究室で妊婦さんを衝撃から守るウェアラブルデバイス「BabyBumper」や夢を操作するアプリ「DreamDate」を手がける。現在はインターン先のデジタルガレージで米農家のためのIoTデバイス「techrice」のデザイナーを務めている。http://www.risahiyama.com/
Fabbleとの出会い
初めてFabbleを知ったのは、筧先生(慶應義塾大環境情報学部の筧康明准教授)とMozilla Japanによる慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の「デザイン戦略(インタラクション)」という授業を受けたときです。最終課題はWeb技術を使って、「身近な人にプレゼントする」をテーマにした作品作りに取り組むという内容でした。Fabbleには作品作りのプロセスを記して、授業ではFabbleを使って作業の進捗を共有しました。私は遠距離恋愛で悩んでいる友人のために、夢で彼氏とデートができるためのデバイス「DreamDate」の製作に取り組みました。
Fableの第一印象
「FabbleはクリエイターのFacebookだ!」これが第一印象です。私はSNSが大好きで、マメにFacebookやInstagram(ID:risahiyama)を更新しています。日記感覚で気軽にプロジェクトの進捗を投稿できるというところが、SNSと共通していると感じます。Fabbleのメモ機能を使えばちょっとしたアイデアやプロジェクトの進捗を投稿してすぐに教授や友人とシェアすることができます。私はそれまでコンセプトがブレてしまったり、アイデアを他の人に伝えるのに困ったりすることがありましたが、 Fabbleはそれらの問題を解決してくれるのではないかと感じました。
Fabbleをどう使っているのか
これから直近のプロジェクト、「Pineshade」を例に挙げてFabbleを日頃どう使っているかを説明したいと思います。
PineShadeは田中先生(慶應義塾大環境情報学部の田中浩也准教授)のデジタルファブリケーションという授業の最終課題として取り組んだ作品です。SFCでは学生が自らキャンパスの一部をデザイン/建設するというStudent Build Campus(SBC)というプロジェクトが遂行されているのですが、その第1弾として建設されたSBCセンターに2年間飾られるランプシェードを完成させることが最終課題のテーマでした。ランプシェードの条件は、自然物や生物から幾何学的(構造的)ルールを抽出して、ランプに使う素材の特性とすり合わせることです。そして3Dプリンタやレーザーカッターなどのデジタルファブリケーションツールを用いて製作していきます。その過程をFabbleで記録、共有しました。