fabなび
Chika-ba(東京 谷保)
日本全国のファブ施設を紹介する「fabなび」。今回は東京都国立市谷保の「Chika-ba」(ちかば)。JR南武線の谷保駅近くにある、工房スペースだ。
オープンは2014年7月13日。代表の西川義信さんは、医療系エンジニアとして働く傍ら、東京多摩地域を拠点に、街の散策や農業、子育て、食、ものづくりなどを学ぶコミュニティー「東京にしがわ大学」の学長としても活動している。その活動を通して「もっとものづくりを通してコミュニティーが形成される場所を作ろう」と思い、Chika-baを設立した。
Chika-baは「工房長」システムを採用している。月5000円でChika-baの工房長になれば、空いている日は自由に利用できる。例えば、自分の好きな作業をするだけでなく、ワークショップやセミナーを開くことも可能だ。もちろん、自分の作業をするだけではなくChika-baの工房長として、見学者などがいれば対応したりするという。
Chika-baは、キッチンスペースと工房スペースに分かれており、キッチンのほうでは地域の主婦たちが、国立近辺で採れた野菜を使ってピクルスを作り、商品として販売店に卸すなど、働くスペースとしても機能している。
現在、工房の機材としてはレーザーカッター1台のみと、ファブ施設として機材が充実しているとはいえない。
「オープンのときに、要望があれば機材を増やしていこうと思っていました。しかし意外と要望がなく、そのままきちゃった感じで(笑)。その割にはいろいろな人が集まってきてくれて、新しいビジネスのくすぶりが生まれたりしています」(西川さん)
Chika-baは線路沿いのビルの地下にあるが、看板などはなく、知る人ぞ知るスペースといった感じだ。もともとは床屋だったスペースを借り、内装などは「壁塗りワークショップ」と題して、40人ほどの参加者と珪藻土を塗ったそうだ。
工房では、定期的なワークショップも行われている。月2回、小学生向けのレゴマインドストームを使ったプログラミング教室を開催しているほか、月1回開催している「町の商品開発室」では、テーマを掲げて参加者でアイデアを出し合い、商品の開発プロジェクトを立ち上げている。
1時間1500円でスペースのレンタルもおこなっていて、それを利用した、アイシングクッキー、フラワーアレンジメントなどの講習会も行われているという。
西川さんは「公園のように、町にいくつものものづくりスペースがあるのが理想」と言う。
現在ファブ機材はレーザーカッターだけだが、今後はロックミシンやシルクスクリーンプリンタなどを導入していく予定とのこと。
「最初はほんと何もなくて、もっとガラガラだったんです。関わる人が作ってくれる場所にしてほしいと思っています。使う人たちがこの場を作っていくし、この場で何かを作ってほしいと思います」(西川さん)
いわゆる、ものづくりのために機材を借りるファブ施設とは違うが、もっと大きなものづくりを行う場がChika-ba。今後このような場所が増えてきて、地域の活性化につながるようになれば、ものづくりがもっと身近に感じられるようになるだろう。
「開業して1年が経ち、この場所で地域との繋がりが増え、多彩な人たちが入れ替わりながらも出会い、関わり、いくつかモノ・コトの種が生まれてきました。これらの種がこの地下から芽をだし、咲き広がる1年になるようにと思います。そして彼らがまた新たな種を蒔き、出会い、生まれていくと楽しいだろうなと夢見ています」(西川さん)
概要
所在地 |
東京都国立市富士見台1-17-25 |
---|---|
営業時間 | 不定期 定休日不定 |
Webサイト | |
料金 |
工房長 |
機材
はんだごてやテスターなど、ハンドツールも用意している。
また、取材後にシルクスクリーン印刷用の機材も導入している。