fabなび
KLC Craft Lab(東京都台東区)
日本全国のファブ施設を紹介する「fabなび」。今回は東京都台東区にある「KLC Craft Lab」。
運営する神戸レザークロスは、兵庫県神戸市に本社を構える靴やバッグ、アクセサリーなどの開発/製造から販売までを行う創業69年になる会社。KLC Craft Labのある元浅草地区は、靴の製造メーカーや革屋などが多く存在する街だ。
KLC Craft Labは、2013年9月にオープン。同社の新商品開発を行うラボ的な機能と、ショールーム機能、そしてFabスペース的な機能を併せもった施設だ。現在の主な利用者は、靴や服飾学校の生徒、靴や帽子、アクセサリーなどを制作している個人メーカーの人などが多いそうだ。
「私たちは商品開発から小売までを一貫体制で行っています。そのため、自分たちだけですべてがまかなえてしまう。しかし、それだけでは新しいものを生み出せない。そこで、さまざまなジャンルの方たちにここの機材を使ってもらい、お互い刺激しあって新しいものが生まれたらということで、この施設を運営しています」(常務取締役 大山克己さん)
1階はショールーム兼作業スペースとなっている。レーザーカッターや3Dプリンタ、UVプリンタが設置されており、時間制で利用することが可能だ。土地柄、個人でものづくりを行っている人が多いことから、一点ものの製品にロゴを入れたり、小ロットの商品の試作などに利用されているようだ。
「下駄職人の方が、下駄の木材に彫刻柄をレーザーカッターで刻印したり、帽子職人の方がオーダーメイドの帽子のためにタグを作りにきたりします。プロの方も多く利用しています」(新商品開発営業本部 熊本綾さん)
また、同社では3Dプリンタを使った靴の製造も始めている。自社ブランドの靴のヒールなどは、3Dモデリングソフトでデータを作成し、3Dプリンタで出力してチェック。完成データを用いて金型製作を行う。
「靴のヒールは、通常は木でモックアップを作り、それを金型屋さんに渡して起こしてもらいます。しかし、人が手で削ったモックアップでは、完全には左右対称になりません。3Dソフトでデータを作成すれば完全に左右対称にすることができるので、そのまま金型に起こすことができます」(熊本さん)
じつは、日本の靴メーカーで3Dソフトや3Dプリンタを導入しているところはほとんどないそうだ。しかし、これからはデジタル化の時代が来ると判断。いち早く3Dソフトや3Dプリンタを使った靴作りのあり方を模索している。
「靴作りの業界もデジタル化の方向に向かっています。10年後くらいには、足をスキャンしてそのまま靴をオーダーできるようなシステムを作り上げ、安価で手軽に靴のカスタムオーダーができるようにしたいと思っています」(大山さん)
一昨年ほど前からは、アニメとのコラボによる靴の製造が増えているとのこと。3Dソフトや3Dプリンタを使用することで、小ロットの靴の製造にも対応できるため引き合いが多いそうだ。
機材は、電話予約をすれば誰でも利用することが可能。現在は靴を始めとしたファッション業界の人の利用がメインとなっているが、もっとさまざまな人に活用してもらいたいと思っている。
「現在は、メーカーさんや個人でものづくりをしている方の利用がほとんど。学生さんや一般の方にもこの場所を知ってもらい、気軽に出入りしてもらいたいと思っています」(大山さん)
KLC Craft Labは、同社のオリジナルブランドの靴などのショールームにもなっている。機材の利用はもちろん、同社の商品を見てみたいという方も、ぶらりと立ち寄ってみてはいかがだろうか。
概要
所在地 |
東京都台東区東浅草1-8-8 |
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営業時間 |
平日9:00~18:00(土・日・祝は休み) |
Webサイト | |
料金 |
レーザーカッター UVプリンタ 3Dプリンタ |