スタートアップのパートナー「工場なび」
林製作所(板金加工/試作)
群馬県高崎市にある林製作所は板金加工を軸に、金属加工品の少量多品種生産を手掛ける企業だ。創業から80年以上、大手メーカーが要求する厳しい品質基準の技術を、多くの研究機関やベンチャー企業にも提供している。1個からの試作案件にも対応し、大量生産に向けたサポートも行っている。
Makersにとって頼りになる3つのポイント
- 設計において、国内の大手企業向けに蓄積されたノウハウを基にしたアドバイスが受けられる
- 既にベンチャーとの実績があり、東京から工場まで片道1時間程度でアクセスできる
- 加工は1個から相談でき、中量生産でも1個生産でも同じ品質
林製作所の創業は1927年。1960年代は、石油ストーブや手回しの洗濯機などを生産するメーカーだった。その後、加工業に事業を集中させ、現在に至るまで大手メーカーから研究機関、ベンチャー企業のものづくりを少量多品種生産でサポートしてきた。
林製作所の特徴は、少量多品種生産でさまざまな業種の大手企業と取引してきたことで、厳しい品質基準に応えてきた技術力をベンチャーにも提供する点だ。大手企業の事例としては、電鉄会社向けのホームドアの次世代機の試作や、スーパーやコンビニ向けの冷凍機向け室外機、ATMや空港の発券機に使用される部品の量産を手掛けている。
また、ベンチャー企業との事例としてはCerevoが開発したプロジェクタ搭載の自走式ホームロボット「Tipron(ティプロン)」の部品開発にも携わっている。
「Tipronで製造したパーツについても、打合せの段階からコストを抑えるための工夫など、当社の加工ノウハウがかなり盛り込まれています。スタートアップやベンチャーからすると、1個とか10個程度の相談はしづらく感じるかもしれませんが、私たちはもともと少量多品種生産で事業を行っています。大手の電機メーカー相手でも、1台の製品を作るのに100種類の部品を納めるような案件に日常的に対応していますので、試作や小ロット生産でも継続的な量産でも品質は同じです。気にせずに相談してほしいと思います」(専務取締役の林司さん)
大手クライアントで培ったノウハウが反映される例とはどういったものか。
「全部の金型を作るほどの予算や量産数がない場合、抜きだけはプレス金型を起こし、曲げについては金型を使わないといった組み合わせで対応することで、最低限の金型でコストを抑えて生産することもあります。また、3Dプリンタを型に使う事例もありますので、状況に応じた提案ができます」
スタートアップとつながる会社かどうかを見分けるには
林さんから見た、スタートアップが相談できるパートナー企業とはどういったイメージなのか、尋ねてみた。
「Makersの人たちにとっては頼みづらい雰囲気もあると思いますが、そこが多品種少量生産を行っている会社か、2、3の相手としか取引を行っていない会社かのどちらかで相談のしやすさもだいぶ変わります。
特に後者の場合、決まった取引先としか関わっていない会社からすると、どこの誰か知らない人からの問い合わせには対応しづらい。
また、打合せ一つとっても、一般的な企業であればその場で修正点を伝えてもデータが来るのは1週間、1カ月先ですが、ベンチャーは打合せ中にデータを直して、その日のうちに次のステップに進んでいる。そういったスピード感についていける町工場かどうかというのも、お付き合いする上では双方にとって大事なポイントだと思います」
概要
企業名 | 株式会社林製作所 |
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所在地 | 群馬県高崎市沖町368-1 |
ウェブサイト | http://hayashi-mfg.jp/ |
電話 | 027-343-1211 |
問い合わせ方法 | 電話、ウェブサイトの問い合わせフォームから |