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Makers’ Base連載企画「Makers’ Bar」

秋の夜長のものづくり。5cmのキューブで季節を表現する。

明日は何の日?

今回のCubeEtude開催日は9月26日、折しも今年の中秋の名月直前ということで、月をテーマにした作品が登場しました。

1つ目の作品は、その名も「十五夜テレビジョン」。レーザーカットしたアクリルで組み立てられた、黒いブラウン管テレビを思わせる姿をしています。

中をのぞき込むと、レーザー彫刻でイラストを描いた透明なアクリル板が何層にも重なって収められています。そして上面には四角く開いた窓があり、積層された透明なアクリルの厚みに合わせて切り出された透明なカラーアクリルが並んでいます。

このキューブに光を当てると…… 

上面のアクリルを通して色とりどりの光が箱の中の透明なアクリルに届き、奥行きのある立体的な世界が広がります。層の重なりによる奥行きだけでなく、中で切り替わる光の色の効果で、さらに空間の広がりが感じられる表現です。秋の月夜を描き出す、さながら光の立版古(たてばんこ)のような作品でした。

満ちる月を待ち望むキューブ

月をモチーフにしたもう一つの作品がこちら、「月見箱」です。

黄金色の輪が描かれた、紺色の紙の貼箱。開くと中には三日月が描かれた一回り小さい箱が入っています。この箱をさらに開くと現れるのは、もうすぐ満ちそうな上弦の月が描かれた、さらに小ぶりな貼箱です。そしてこの箱の中から現れるのは、小さな小さな月球儀。箱を開くごとにだんだんと月が満ちていき、最後にようやく満月との対面を果たせるという趣向です。 

箱自体も紙箱のイラストも、そして小さな月球儀も、全て手作りで制作されています。月球儀は市販されているものかのような完成度ですが、実は直径25mmほどの木の小さなボールに、球の展開図上に印刷された月の地図を丁寧に切って貼り付けてあります。土台の部分には、真鍮色の歯車を活用しています。

近づいてくる満月を楽しみにさせる、そんな仕掛けのある作品です。 

水にたゆたう、落ち葉のキューブ

「秋」と聞いて連想されるもの。月に続いては、落ち葉をイメージさせるこちらのキューブです。透明なレジンの中に、本物の葉から作った葉脈標本が、川を漂う落ち葉のように浮かべられて封じ込められています。

光にかざして眺めると、美しさと、はかなげな雰囲気が一層引き立ちます。

葉脈標本は、排水溝のつまりをとる強力なアルカリ性洗剤で葉を溶かすことで制作されています。繊細で、作るために特殊な技術が必要になりそうな印象ですが、実は洗剤や歯ブラシなどの、どこの家庭にでもあるような道具で作ることができます。

制作で最も苦労したのは「樹脂の成型」。ヒケや気泡が出てしまっただけでなく、葉脈標本の乾燥が不十分だったためか、葉脈から大きな泡が生じています。植物や昆虫の標本を封入した、透明な樹脂の置物が雑貨店などで売られているのをよく見ますが、美しくて当然のように眺めていたそれらの製品がいかに難度の高いものかが、この作品を通して感じられたそうです。 

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