Makers’ Base連載企画「Makers’ Bar」
秋の夜長のものづくり。5cmのキューブで季節を表現する。
うつろう季節を愛でるキューブ
月や落ち葉に続いては、百人一首から選んだ「秋」の和歌をテーマにした、半磁器製の一輪挿しも登場しました。一般的に、焼き物では中が空洞のキューブを作るのは非常に難しいのですが、サイズも形もぴったりの作品を一発勝負で完成させたという、技術力の高さがうかがえる作品です。
選ばれた和歌は、天智天皇の作品。
「秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露にぬれつつ」
小倉百人一首の第一首目として、暗記した思い出が残っている方も多いかと思います。秋の夜を畑の泊まり番として過ごす農民の暮らしを思い、詠まれた和歌。その歌の内容に相応しいようにと、イベント本番では、道端に咲いていた花が活けられていました。日々の生活の中で感じられる、少しずつ近づく秋の気配が表現された作品でした。
やっぱり大好き、「食欲の秋!」
そして今回、会場に集まった参加者から最も人気を集めたのが、秋の味覚をテーマにした、何ともおいしそうなこのキューブ。全てガラスで作られた、果物や食べ物がモチーフです。
エッチング加工によって皮のさらさらした質感が表現された梨や、みずみずしい食感を想像させるブドウの房、角ばったかたちを活かした柿などが、小ぶりなキューブ型で作られています。実はこれらのガラス作品、50mm角のアクリルケースに全てきっちり収まるようにできています。季節の贈り物として誰かに届けたくなる魅力がある、置物のシリーズです。
「黄色いキューブはチーズ? バター??」という声が会場から上がりましたが、答えは何と「月」。お団子と一緒に飾れば、かわいらしいお月見の風景が完成です。丸いはずの月でさえも四角く作ってしまった、何ともコミカルなキューブでした。
次回キューブは、初の出張開催です!
Makers' Bar 5×5×5 Cube Etude」、次回は7回目を迎えます。これまでの6回、会場はいつもMakers’ Baseでしたが、次回は初めて外へと飛び出しての開催です。会場は東京都千代田区にあるmAAch ecute(マーチ・エキュート) 神田万世橋、開催日程は12月5日(土)18時からです。宿題は「キューブを作ってくること」、テーマは開催時期にちなんで「クリスマスギフト」。この言葉から思いつくイメージを、作品として思う存分表現してきてください。現在、参加申し込みを受付中です。「宿題を作るのは難しいけど、何だか面白そうで気になる……」という方、「クリスマスに何かユニークなプレゼントを探したい!」という方、もちろん「絶対みんなに“すごい!”って言わせてみせる!」という方にも気軽に参加していただける、カジュアルなイベントです。全力で作ることを楽しんだ作品の数々を囲みながら、楽しい時間を過ごしてみませんか。
ものづくりの体験をシェアできる「ものづくりの教室」であり、楽しさを分かち合う「ものづくりの宴」でもあるMakers’ Bar、次回も皆さんのご参加をお待ちしています。