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アジアのMakers by 高須正和

大量生産でもDIYでもない、仲間内で頒布される「同人」ハードウェアが起こすイノベーション

僕は海外のMakerを日本に紹介したり、日本のMakerが海外のMaker Faireにまとめて出展するような「ニコニコ技術部輸出プロジェクト」をやっている。勤務先であるチームラボの仕事でシンガポールに在住していて、東南アジアのMakerイベントに行くことも多い。この連載では、そういう海外のMakerの活動を、アジアを中心に取り上げていく。

2015年7月29日に明治大学中野キャンパスおいて、「深セン/シリコンバレーにみる、Maker Movementの『実際のところ』」という講演会があり、メインスピーカーとしてSeeed代表エリック・パンの講演「Grow the difference(違いを育てる)」が行われた。Seeedは数十個以下の小規模生産を個人から直接請け負うことで、これまでの大量生産されるはずだった「ハードウェア製品」を、同人誌のように小規模に生産して顔の見える範囲で頒布する活動をサポートしている。

講演では、オープンソースハードウェアの世界とMakerの文化が広がっていくことで、Indie Design、同人ハードウェアとでも言うべき世界が新しく生まれ、それは既存の製造業とは違うイノベーションの可能性を秘めていることについて熱いメッセージが送られた。 

明治大学で講演するエリック・パン。 明治大学で講演するエリック・パン。

Maker for Makersオープンソースハードウェアを推進する深センのSeeed

中国・深センに本社を置くSeeed(旧名Seeed Studioだったが、2015年時点で200人を超える大きさの会社になり、Studioを外した)は、オープンソースハードウェアのキット販売や、Makerに小規模量産、プリント基板の製作サービスなどを提供している企業だ。アメリカが最も多い注文主で、まだ日本からの利用は多いとは言えないが、東京のMakerのクリエイティビティに注目し、Maker Faire Tokyoにはパートナーであるスイッチサイエンスと一緒に、毎年ブースを出している。

2015年の来日では、Maker Faire Tokyoのブース出展だけでなく、明治大学先端メディアサイエンス学科で特別講演も行った。講演のホストとなった宮下芳明教授は、「コンテンツ制作の民主化」をキーワードに、プログラムからモノまで、さまざまな開発手段が誰でも使えるようになっていることを、授業を通して教えている。

エリック・パンの講演は、「僕たちのビジネスはMakerのためのメーカー(Maker for Makers)です」という紹介から始まった。 

MakerのためのメーカーをスローガンにするSeeed。アイデアだけでモノはゼロのDreamerから、10K+(1万個以上)モノを量産するハードウェア企業までサポートする。 MakerのためのメーカーをスローガンにするSeeed。アイデアだけでモノはゼロのDreamerから、10K+(1万個以上)モノを量産するハードウェア企業までサポートする。

この図は、Makerビジネスの全体像を表すものだ。下部、数字のゼロのヨコにあるDreamerから、10KとあるHardware Corporationsまでは、モノを作れる数を表している。何も作ったことはないが、アイデアはあるDreamerから、Maker人生は始まる。Seeedは、ハンダ付け無しでArduinoなどのマイコンキットを使った電子工作を楽しめるキットであるGroveなどを提供している(日本ではスイッチサイエンスが販売)。これはDreamerや、プロトタイプまで(図では0.1とされている)作れるMaker向けに提供されているものだ。PCB基板制作のFusionPCBは、自分で回路設計ができ、Engineering sampleまで作れるVeteran Makerから上に向けたサービス、ECサイトのBazaarでは、DreamerがGroveのような製品を買うことができるし、量産の段階までたどり着いたハードウェア企業が自社の製品をSeeedに売ってもらうこともできる。

Seeedはこのようにどの層のMakerもサポートしている。もうひとつ、この図の素晴らしいことは、どのMakerもDreamerから始まり、どのカテゴリに進んだMakerも、ずっとDreamを持ち続けている様子が示されていることだ。 

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