アジアのMakers by 高須正和
「人がMakerになる場所」古都・成都で開かれた中国4カ所目のMaker Faire、Mini Maker Faire 成都 2016レポート
三国志の蜀の都、諸葛孔明を祀る武候祠があり、パンダや麻婆豆腐といった名物でも有名な四川省の成都で「Mini Maker Faire 成都 2016」が開かれた。
2日間で11万人の来場者を集めて大成功したMaker Faireは、同じ中国の深センのMaker Faireがスタートアップ尽くしなのとは異なるカルチャーを感じた。さまざまなMaker文化を交錯させ、「人がMakerになる場所」となったMini Maker Faire 成都 2016をレポートする。
古都・成都のMaker Faireに11万人が集まる
四川省の省都であり、数千年前の殷の時代の遺構が残る古都・成都で2016年12月3~4日に開催されたChengDu Mini Maker Faireは、深セン、香港、北京につづく、中国4都市目のMaker Faireとなる。
会場になった东郊记忆(成都 Easten Suburb Memoly)は、古い工場跡を映画館やアニメスタジオ、音楽学校、生バンドが演奏するバーなどが並ぶカルチャー/エンターテイメント施設に改装した文化地区で、オシャレでクリエイティブな若者が集まる場所だ。日本だと高円寺界隈とミッドタウンを合わせたような感じだろうか。
そこで2日間にわたって行われたMaker Faireは、100組の出展者、11万人の来場者を集めた。もともと週末には多くの人が集まる場所で、成都のMaker Faireは「街のみんなのもの」と感じる。
文化・教育・伝統工芸など多様な出展物
出展100組というのはMini Maker Faireらしい小規模さだが、スタートアップが多くを占める深センのMaker Faireと違い、音楽やライブペインティング、伝統工芸なども含めた幅広い出展物が楽しい。
筆者はMaker Faire深センの運営メンバーをしているため深センにはよく行くが、成都とは街の雰囲気がだいぶ違う。成都の街を歩いてみると音楽教室や絵画教室、楽器屋やライブハウス、アニメショップや映画館といった文化的なものを多く見かけるのに驚く。Maker Faireの出展物もそれを反映していると感じた。
成都の市内の別の場所では、日本のデザインフェスタ的なハンドクラフトの展示会が行われていた。市内のいろいろな場所でライブ演奏を見かけ、公園ではさまざまな文化活動が行われている。深センは真夜中まで車が走り店が開いていて、人々は働くのに夢中な印象を受けるが、成都には日常生活がある。
伝統工芸やハンドクラフトは、深センのMaker Faireではほとんど見なかったものだ。逆に2015年に訪ねた北京のMini Maker Faireでは、ハンドクラフトとスタートアップばかりで、いわゆるMaker Faireっぽい電子工作をあまり見かけなかった。成都のMaker Faireではスタートアップとアマチュアの工作、テクノロジーのものとクラフトよりのものがバランスよく集められていて、どういう人が訪れても楽しめるようになっているのを感じた。うまいオーガナイズだ。