アジアのMakers by 高須正和
タイらしさ爆発、大人も子どもも楽しめるBangkok Mini Maker Faire 2017レポート
タイのメイカースペースやスタートアップ
タイでもスタートアップやIoTのカンファレンスが頻繁に行われるなど、「Makerからプロへ」の声がけは盛んにされている。とはいえシリコンバレーや深センのような地の利はなく、ドメスティックに動いているとうまくいきづらい。
カリフォルニアでGravitechというオープンソースハードウェアの会社を経営するDr. Panはそこをつなぐ存在だ。Dr. Panはバンコク生まれのタイ人だが、アメリカの大学を卒業してアメリカ西海岸でGravitechを2006年に起業。今は50人ほどの従業員を抱えるまで成長した。深センのSeeedやニューヨークのAdafruitとは同世代の会社で、Seeedのエリック・パンやAdafruitのレディ・エイダとはよく顔を会わせる。
そしてDr. Panは2015年、自分の経営するMakerスペースをバンコクに作ることに決めた。これから先のビジネスを、半分アメリカ西海岸、残り半分はバンコクのMakerたちと過ごすことを決めたのだ。彼の経験と彼のスペースHOME OF MAKERは、Kickstarterなどに向けてプロジェクトを進めるタイのスタートアップのためのよいメンターとなっている。初年度は市場規模が小さすぎたタイのMaker Movementだったが、今Dr. Panは政府のサイエンスパーク内などでもHOME OF MAKERを運営していて大忙しで、しかもこの「タイとアメリカのMakerをつなぐ役割」には競合がほとんどいないので未来は明るそうである。もちろんバンコクのMaker Faireにも全面協力している。
アジア中がつながりつつある。
前述の日本の佐藤ロボット研究所や深センのMakeblockだけでなく、バンコクのMaker Faireには海外からの参加者も多く来訪・出展していた。バンコクは東南アジアの中心部に近く、とても訪問しやすい位置にある。
バンコクは「なんとなく年に1回ぐらいは訪れたい場所」であり、Maker Faireがこうした東南アジアのMakerたちにとってもいいミートアップの機会になっていると感じた。彼らのうち何人かは東京のMaker Faireにも訪れていて、筆者はMaker Faire Tokyoの前日にOversea Maker Faire Meetupというイベントをしたり、来日する外国人のためのFacebookグループを作ったりしている。今年も開催予定だ。2015年からはMaker Faire Tokyoの公式サイトに英語版ができ、年々充実するなど、どこのMaker Faireも国際化しつつある。
タイのMakerたちに東京で会えるのが今から楽しみだ。