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女性エンジニアキャリア特集

モットーは、「社会に働きかけられるような技術者」を目指すこと——メイテック立川エンジニアリングセンター 鈴木尚未氏

チャレンジすることに恐れはない

子どものころは近所に鍛冶屋さんがあり、職人さんにもあこがれたとか。 子どものころは近所に鍛冶屋さんがあり、職人さんにもあこがれたとか。

——大学院での専門は、生物系とうかがっています。

大学院では「分子生物学」を専攻していました。分子生物学というのは、生き物の細胞の中で起こっている機能や働きを、分子のレベルで解明する学問です。遺伝子が発現してタンパク質を合成するメカニズムの解明、タンパク質が糖質や脂質などの、他の物質に働きかけて生理的機能が発現するメカニズムといった、目に見えないものを日々研究していました。

——なぜ分子生物学を専攻されたのですか。

中学や高校の理科の教科書に、遺伝子発現のモデル図や、細胞分裂、光合成などの絵が描かれていましたよね。ああいう絵にあこがれて、私もこういうものを実際に見たいと思ったからです。

実は私は、数学や化学は得意ではなくて、高校生のころは化学で赤点を取っていたくらいです。でも分子生物学には、化学と物理の知識が必要で、自然と理系に流れ着きました。

——学んできた生物系の仕事でないことに抵抗はありませんでしたか。

正直なところ、入社した当時は生物学のテクノロジーに触れる仕事がしたいと思っていました。でも、最初から自分の持っていない知識を必要とされる職場だったので、チャレンジすることに対する恐れはありません。自然と「何でもやる」という風になってきたのだと思います。

どんな経験でも、必ずどこかで役に立つ

実は自動車自体に詳しいわけではない。助手席専門のペーパードライバー。 実は自動車自体に詳しいわけではない。助手席専門のペーパードライバー。

——仕事をするうえで影響を受けた人はいますか。

最初にお世話になった派遣先の上司です。派遣社員である私も「新入社員と変わらず育てる」といってくださり、技術者としてのあり方や、仕事に対する姿勢を全部教えてくださいました。

たとえば、すべての仕事に関して「何時から何時まで、何をしたか」を書き残すこと。これは今も続けています。積み重ねることで、どの仕事がどれくらいの時間でできるのか、見積もることができるようになる。業務の効率を考えるうえで、大事なことだと思っています。

——転機となった出来事はありますか。

リーマンショックですね。景気の影響で、多くの派遣エンジニアの仲間が自社に戻ってきました。私以外にも、もっと技術力の高い人も戻ってくるという状況でした。それほど、未曽有の危機だったんだと思います。次の派遣先が決まるまでの間、みんなで自己啓発や研修をし、私は研修をまとめる仕事をしていましたが、辛かったですね。

エンジニアは、新しい技術や業務に必要な知識に対してはすごく貪欲ですが、次の派遣先が決まっていない状況では、だれもが「何を勉強するんだ、何の役に立つのか」と疑心暗鬼になる。1年半ぐらいだったと思いますが、互いに励まし合って、よくがんばったと思います。

でも、そこで出会った人たちがいるから、もっと積極的に自社に関わるようになりましたし、その間に学んだ、私自身も無駄に思えた知識が、次の派遣先での最初の仕事で役立つという経験もしました。どんな経験でも、必ずどこかで役に立つことがあると感じて、私の中では転機になりました。

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