女性エンジニアキャリア特集
モットーは、「社会に働きかけられるような技術者」を目指すこと——メイテック立川エンジニアリングセンター 鈴木尚未氏
期待に応えていくことがモチベーション
——仕事のやりがいを感じる点は。
派遣業は、エンジニアリングを提供するサービス業でもあると思っています。ですから、だれかの期待に応えていくのは、すごくモチベーションが上がりますね。
幸せなことに、通常なら派遣エンジニアが入り込むのは困難な仕事まで、関わらせていただいています。こういう例は、周りを見てもあまりありませんし、その期待に応えるというスタンスは、私にはとても向いているのだと思います。
——メイテックという会社に入社してよかった点は?
派遣先でストレスを感じたり、技術的に課題があるようなときに、自社に戻るとだれかが知っていたり、全然違う発想をする人がいたり、自分の悩みがだれかのかつての悩みだったりする。そういう仲間がいることは、なかなかあることではないと思います。
——ではエンジニアの仕事が、女性に向いていると感じることはありますか。
圧倒的に男性の多い仕事場で、差別の経験はありませんが、区別はあると思っています。男性とまったく同じように体力や腕力を求められても、応えられません。一方で時間をかけて丁寧に経過を観測するとか、きめ細やかさとか、ちょっとした化学反応の変化に気づくといったことは、女性のほうが、向いていると思いますし、職場でも女性をそういう仕事を就かせる傾向は強いようです。
性差というより、むしろ向き不向きの仕事があるということなのだと思います。
ただ、男性は私たちが思っている以上に、女性のことを女性であると意識しているのも事実です。たとえば男性の先輩から飲みに誘われれば、そこでたくさんのコミュニケーションがとれ、信頼関係も生まれ、技術の伝達もある。でも先輩がセクハラと受け取られることを恐れて、誘ってくれなければ、女性は教育のチャンスを逃すことになります。ですから若い時ほど、女性であることを意識させない努力が必要だと思いますし、後輩にもアドバイスしています。
一個人として判断してもらえること
——鈴木さんはどういう技術者を目指していますか。
仕事上は、私は一つのパートを担っているにすぎませんが、ある程度全体も見て、それとなくマネージメントのフォローに入ることもできるように心がけています。
また私のモットーでもありますが、自分の仕事によって、周りの人を動かし、それが伝わって大きな輪が動いて社会に働きかけられる、そういう技術者になりたいとずっと思っています。それには、何より信頼されなければなりません。信頼があるから、この仕事を任せる。それが基本だと思います。
——最後に、エンジニアを目指す女性にメッセージを。
技術に対して敏感であること、自分自身を客観的に見られること、とにかく素直であることが大事だと思います。
自分を主張することは好ましいことでもあるし、個性は生かすべきではありますが、女性の柔軟性も発揮して、男性にはできないことをする。それは女性らしくという意味ではなく、男性、女性という以前に自分らしくやること、一個人として判断してもえるようになることだと思いますし、私もそれを目標にしています。