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女性エンジニアキャリア特集

医師に憧れた私が、今エンジニアとして内視鏡を通じて医療に貢献している——オリンパス 坂本宙子氏

不可能だったことを可能にする

医師や看護師だけではなく、エンジニアも医療を支えている。 医師や看護師だけではなく、エンジニアも医療を支えている。

——入社してから、どのような仕事をしてこられましたか。

入社当初は顕微鏡の事業部に所属していました。

当時、細胞の形を決める遺伝子は、がんなどの病気になると変化することはすでに分かっていましたが、顕微鏡では形の変化を見ることはできても、量の変化は見られませんでした。でも、化学反応で遺伝子を着色する技術が開発され、ちょうど私が入社した頃から、色の濃淡によって、顕微鏡で遺伝子の量の変化も見ることができるようになりました。科学の進歩によって顕微鏡がさまざまな使われ方をされ始めた時期に、顕微鏡の事業部に在籍していましたので、顕微鏡を使った新しい解析方法を提案するような仕事をしていました。

また、以前当社では血液分析機の販売もしていたので、血液検査でがんを見つけるための検査の指標(マーカー)を開発していたこともあります。
最初に医療事業に関わったのは、処置具などの治療機器の生体への影響評価です。治療機器で処置すると、細胞にどういう影響があるのかを評価する仕事で、私の専門である生物学を生かせる分野でした。

——ではなぜ処置具そのものの開発に移られたのですか。

専門を生かせる仕事ももちろん楽しかったのですが、何か新しいものを作ることにも興味があり「処置具の開発に携わりたい」と私からお願いしました。

私は処置具の詳細な構造や機構を設計することはできませんが、生体に対する処置の影響を考えながら、患者さんの身体への負担がより少ない治療を実現するための方法やコンセプトを考えたりすることは、専門を生かせる分野ですから、設計のスタッフと協力しながら開発をしています。 

作った製品で病気の治療の役に立てる

まじめにいいものを作りたい人が集まっている会社。「それが社風になっている」 まじめにいいものを作りたい人が集まっている会社。「それが社風になっている」

——仕事の楽しさや、モチベーションはどんなところにありますか。

自分が作ったもので、医師が喜んでくださったり、医師の手を通じて患者さんの健康に役立ったりできることですね。おそらくこの会社で働いている者の多くが、自分の携わった製品を通して、医学や科学に貢献したいと思っているだろうと思います。

最近も、チームで考えた新しい処置具を初めて医師に試していただきました。医師からいただく意見が自分たちにとってうれしいものでも厳しいものでも、まだ世の中にないもの、自分たちの作ってきたものを、医師の方々に実際に評価していただけるのは、ものすごくうれしいことだと感じました。

——では仕事をするうえでのポリシーは。

基本的にはいつも楽しく仕事をしたいと思っています。仕事ですから大変な時期もありますが、いいものを作るためのことですから、未来を見据えて、楽しくできるようにしたいです。壁があっても、自分の好きな仕事ですし、周りの人にも恵まれ、助けられていると思います。

また一緒に働いてくれるチームのメンバーが能力を十分に発揮するためにも、楽しくなければいけないと思っています。その人の良いところを十二分に引き出せる環境を作ることが、リーダーやマネージャーの重要な仕事なのではないかと思います。 

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