女性エンジニアキャリア特集
医師に憧れた私が、今エンジニアとして内視鏡を通じて医療に貢献している——オリンパス 坂本宙子氏
「個人の成長が会社を支えている」
オリンパスでは「ワーク・ライフ・インテグレーション」という言葉を使い、仕事と家庭の相乗効果を目指している。そのテーマの一つとして「女性活躍推進」を位置付け、サポート制度を拡充してきた。産休、育児休暇、時短勤務はもちろん、子どもが病気になったときの看護休暇、また介護休職や介護を対象とした時短勤務制度もある。2013年からは在宅勤務制度(自己規律をもってマネージメントできると認められたレベルの開発職が対象)、介護に直面する年齢層が管理職である可能性が高いことから、役職を一旦留保できる「役割フレックス制度」も取り入れている。育児、介護、配偶者の転勤によって、やむを得ず退職せざるを得なくなった場合には、一定期間人材としてプールし、選考を受けて再入社できる制度もある。産休以外は、男女を問わず制度を利用することができるが、男性による活用はまだ始まったばかりといった状況だ。
同社は、人を大切にする社風。人事制度の根本には「個人の成長が会社を支えている」という考え方があり、人材育成にも力を入れている。一つは半期ごとの目標を設定する短期的な取り組み。もう一つは、これまでの経験や今後のキャリアを、5年、10年というスパンで考え、中長期的にフォローする取り組み。上司とのコミュニケーションを重視し、前期、後期それぞれ期初、期中、期末の3回、計年6回の面談を行っている。
人事部の南波忍氏は、「坂本はまさに同社の社風を体現しているタイプ。自分と他の社員を比較するのではなく、自分自身が成長を実感して、管理職を全うしている」という。現在、女性技術者は多いとはいえないが、坂本さんも語っていたように、女性ならではの観点や強みが生かせる仕事でもある。「女性技術者も増やしていきたいし、当社の良さを生かしながら、管理職を目指してもらい、多様な管理職によってイノベーションが生まれることを目指したい」と南波氏。医師や科学者に指示される製品の背景には、それぞれの人がのびのびと力を発揮できる雰囲気や、人を大事にする会社の考えがある。