女性エンジニアキャリア特集
医師に憧れた私が、今エンジニアとして内視鏡を通じて医療に貢献している——オリンパス 坂本宙子氏
新たなものを生み出すには多くの視点が必要
——今まで目標になった女性エンジニアはいますか。
日経ウーマン「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2004」の大賞に選ばれた、唐木幸子さんです。生物系の方だったこともあり、活躍されている間近で仕事をする機会に恵まれました。当社の女性社員のパイオニア的な存在で、きっとご苦労されてきたのだろうと思いますが、私たち後輩が活躍できる場所を用意してくださったと思っています。
ただ基本的には男性、女性は関係なく、周りの人たちの、それぞれのいいところを真似したいと思いながら、今日まで来たような気がします。
——この仕事は女性に向いていると思いますか。
これまでの治療機器は操作部が大きかったり、操作に力が必要だったりするものもありましたが、医師の世界も男性が多かったために、あまり考慮されてこなかったという背景があるのかもしれません。女性医師も増えていますし、新しいものを生み出す時には多くの視点が必要ですから、女性技術者の存在も重要なのではないかと思います。むしろ女性のほうが、いろいろな視点から見ることには長けているかもしれません。
患者さんの役に立てる可能性を追求したい
——どういう技術者を目指したいですか。
私は子どもの頃は、医師になりたいと思っていました。実家の家族や親戚には医師はいませんし、私自身も大きな病気をしたことはありませんが、たぶん病気そのものに興味があったのだと思います。「家庭の医学」を読んだりして、病気を治せる人になれたらいいなと思っていました。
それが、たまたま内視鏡を作っている会社に就職し、内視鏡を扱っている事業部にいる。診断ができたら、それを治したいと思うのは当然のことで、私もその流れに沿って仕事をしてきました。しかも医師であったら自分が担当できた限られた患者さんしか診られなかったかもしれませんが、内視鏡ならたくさんの医師に使われ、より多くの人の治療に関与できるかもしれない。今私は、それを実現し得る立場にあると思うので、自分が作ったもの、考えたものを通して、もっと患者さんの役に立てる可能性を追求していきたいと思います。
——最後に、読者にメッセージをお願いします。
私はいつも夢を捨てずにきたつもりです。いろいろな環境の変化もありますし、逆境に立たされることもあります。でもあきらめずに努力を続けていたら、いつか実になるのではないかと思っていますし、今もそう思いながら仕事を続けています。ぜひ皆さんも、夢をあきらめないでいただきたいと思います。