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今さらきけない「ラズパイってなんですか?」

第3回 Raspberry Pi OSって何ですか

前回はRaspberry Pi(ラズパイ)の歴史やインターフェースについて解説しました。ラズパイを動かすためには、AC電源やmicro SDカードが必要なことがお分かりいただけたでしょうか。今回はラズパイを制御するOS(オペレーティングシステム)について解説していきます。

ラズパイはRaspberry Pi OSで動く

パソコンが「Windows」や「macOS」で動作しているのと同じように、ラズパイは「Raspberry Pi OS」で動作します。Raspberry Pi OSは、「Linux」と呼ばれるOSカテゴリーにあるOS「Debian」から派生したものです。このため、ファイル操作のコマンドはLinux標準のものを使うほか、Debianで使われている「apt install」というアプリをインストールするコマンドや、「apt update」「apt upgrade」といったプログラムのアップデートコマンドなど、Debianと同じものを使います

Raspberry Pi OSをSDカードにインストールするためには「Raspberry Pi Imager」を使います。以下の種類のRaspberry Pi OSをインストールできます。

  • Raspberry Pi OS(32ビット)
  • Raspberry Pi OS Lite(32ビット)
  • Raspberry Pi OS Full(32ビット)
  • Raspberry Pi OS(64ビット)
  • Raspberry Pi OS Lite(64ビット)
  • Raspberry Pi OS(Legacy)
  • Raspberry Pi OS Lite(Legacy)
Raspberry Pi Imagerメイン画面 Raspberry Pi Imagerメイン画面

Raspberry Pi OSは32ビット版と64ビット版が用意されていますが、64ビットはRaspberry Pi 3/4/400でしか動作しません。その他のOSですが、「Lite」とあるものはRaspberry Pi OSを最小限の構成で動作させるためのものです。Raspberry Pi Zeroなど、SoCのパワーが非力な場合はLiteを使うことになります。「Legacy」ではRaspberry Pi OSの以前のバージョンをインストールできます。Raspberry Pi OSの最新バージョンは「Bullseye」ですが、例えば1つ前の「Buster」をインストールするときにはこちらを使います。

なおインストールするのは32ビット版と64ビット版のどちらがいいのか気になる方も多いでしょう。32ビット版では1プロセスあたりのメモリー使用量が3GBまでとなっていました。64ビット版になるとそれ以上のメモリーが使用可能となるので、8GB版のRaspberry Pi 4 Model Bであれば高速動作が期待できます。

そこで「UnixBench」という、昔から使われているベンチマークテストソフトがありますので、こちらをRaspberry Pi 4Bで実行してみました。「4 CPUs in system; running 4 parallel copies of tests」における「System Benchmarks Index Score」の値は以下のようになりました。

photo

結果を見ると分かるように、いずれのメモリー搭載容量でも、64ビット版の方がパフォーマンスが上がっています。加えて8GB版の場合はよりパフォーマンスが向上していることが分かります。なおUnixBenchは64ビットネイティブアプリではないので、あくまでも64ビットOS上で動作する32ビットアプリとしての結果ですが、参考にはなりますね。

Raspberry Pi OSをインストールしよう

ではRaspberry Pi OSをインストールしてみましょう。その手順は以下の通りです。

PCにmicroSDメモリーカードをセットし、Raspberry Pi Imagerを起動したら、メニューの「CHOOSE STORAGE」でmicroSDメモリーカードを、「CHOOSE OS」でインストールするOSを選ぶ PCにmicroSDメモリーカードをセットし、Raspberry Pi Imagerを起動したら、メニューの「CHOOSE STORAGE」でmicroSDメモリーカードを、「CHOOSE OS」でインストールするOSを選ぶ
「CHOOSE OS」を選ぶとこのようなメニューが表示されるので、インストールしたいOSを選べばよい 「CHOOSE OS」を選ぶとこのようなメニューが表示されるので、インストールしたいOSを選べばよい

OSとmicroSDメモリーカードの選択を終了してメイン画面に戻ると、右下に歯車のアイコンが表示されます。これはRaspberry Pi OSを選んだときだけに表示されるもので、これをクリックすると、インストールするRaspberry Pi OSにSSH(セキュアシェル:別のコンピューターからログインするためのプロトコル)でアクセスできるようにしたり、Wi-Fiやロケール(言語環境)の設定、ログインユーザーとパスワードの設定ができます。これは2021年の春にRaspberry Pi Imagerがバージョンアップした際に隠しコマンドとして用意されたものですが、正式に採用されて使えるようになりました。これが利用できるようになる前は、microSDメモリーカードに「ssh」という空のテキストファイルを用意したり、Wi-Fiの設定ファイルである「wpa_supplicant.conf」を作ったりしなければならなかったので、とても便利になりました。

右下に歯車のアイコンが表示されている 右下に歯車のアイコンが表示されている

なおRaspberry Pi OSの書き込み時ですが、以下のように設定すると便利です。

  • ホスト名を変更する
  • 「Enable SSH」にチェックを入れておく
  • Wi-Fiを設定し、「WiFi country」を「JP」にする
  • ロケール(locale)を「Asia/Tokyo」にする
  • 「Keyboard layout」を「jp」にする
「Set hostname」にチェックを入れてホスト名を入力する(デフォルトのままでも構わない)。「Enable SSH」にチェックを入れてログインするユーザー名とパスワードを設定する 「Set hostname」にチェックを入れてホスト名を入力する(デフォルトのままでも構わない)。「Enable SSH」にチェックを入れてログインするユーザー名とパスワードを設定する
「Configure wifi」にチェックを入れておく。Raspberry Pi Imagerを起動しているマシンのWi-Fi情報からSSIDとパスワードがあらかじめ設定されている場合はそのままでOKだ。「Wifi country」は「JP」に設定しておこう。プルダウンメニューからも設定できるが、直接入力した方が早い 「Configure wifi」にチェックを入れておく。Raspberry Pi Imagerを起動しているマシンのWi-Fi情報からSSIDとパスワードがあらかじめ設定されている場合はそのままでOKだ。「Wifi country」は「JP」に設定しておこう。プルダウンメニューからも設定できるが、直接入力した方が早い
日本語キーボードを使う場合は「Set local settings」で「Keyboard layout」を「jp」にする。こちらもプルダウンメニューより入力した方が早い 日本語キーボードを使う場合は「Set local settings」で「Keyboard layout」を「jp」にする。こちらもプルダウンメニューより入力した方が早い

設定が終わって再びメイン画面に戻ったら、右にある「WRITE」がハイライト(白地になる)されるようになるのでこれをクリックします。するとOSの書き込みが始まります。終了したらmicroSDメモリーカードを取り出し、ラズパイにセットすれば、デスクトップが起動します。

「WRITE」をクリックすると書き込みが始まる 「WRITE」をクリックすると書き込みが始まる

Raspberry Piは、ディスプレイに接続しなくても利用できます。上記の設定である通り、SSHが使えるようにして、「TeraTerm」などのターミナルソフトをパソコンで起動し、ホスト名を指定してログインすれば利用できます。その際には「ホスト名.local」と入力することでアクセスできます。

ラズパイ関連のWebサイトや雑誌ではPythonなどのプログラムが掲載されていることがありますが、これらのプログラムは、ほとんどの場合がCUI環境での操作となります。筆者も通常はラズパイを起動したらTeraTermかリモート接続ソフト「VNC Viewer」でラズパイに接続し、リモート操作をして使っています。以下のような手順です。

Raspberry Pi OSをインストールしたmicroSDメモリーカードをラズパイにセットし、電源を入れてRaspberry Pi OSを起動する Raspberry Pi OSをインストールしたmicroSDメモリーカードをラズパイにセットし、電源を入れてRaspberry Pi OSを起動する
起動時にラズパイにある緑のアクセスランプの点滅が収まったら(だいたい1分半程度)、TeraTermを起動して「(ホスト名).local」としてラズパイにアクセスする 起動時にラズパイにある緑のアクセスランプの点滅が収まったら(だいたい1分半程度)、TeraTermを起動して「(ホスト名).local」としてラズパイにアクセスする
ラズパイに接続したら「sudo raspi-config」と入れて設定画面を起動する。設定画面が起動したら「3 Interface Options」を選ぶ ラズパイに接続したら「sudo raspi-config」と入れて設定画面を起動する。設定画面が起動したら「3 Interface Options」を選ぶ
「13 VNC」を選ぶ 「13 VNC」を選ぶ
「Yes」を選ぶ 「Yes」を選ぶ
トップ画面に戻って「2 Display Options」を選ぶ トップ画面に戻って「2 Display Options」を選ぶ
「VNC Resolution」を選ぶ 「VNC Resolution」を選ぶ
任意の画面サイズを選んでEnterを押す 任意の画面サイズを選んでEnterを押す
VNC接続時の画面サイズが表示される VNC接続時の画面サイズが表示される
トップ画面に戻ったら「Finish」で終了する トップ画面に戻ったら「Finish」で終了する
このあとPCのデスクトップに戻り、VNC Viewerを起動して「(ホスト名).local」と入力して接続するとラズパイのデスクトップが表示される このあとPCのデスクトップに戻り、VNC Viewerを起動して「(ホスト名).local」と入力して接続するとラズパイのデスクトップが表示される

ラズパイにインストールできるOSは

Raspberry Pi OS系以外に、Raspberry Pi Imagerでインストールできる代表的なOSは以下の通りです。

★他のLinux系OS

  • Ubuntu
  • Manjaro ARM Linux
  • Apertis
  • RISC OS Pi

★メディアプレーヤー系

  • LibreELEC
  • OSMC
  • Volumio

★ゲーム系

  • RetroPie
  • Recalbox

★その他のOS

  • 3D printing
  • Home assistants and home automation
  • info-beamer digital signage
  • FullPageOS
  • ALT

Linux系OSでは、Raspberry Pi OSの元になったDebianから派生した「Ubuntu」が有名です。メディアプレーヤーは、Raspberry Piで動かすことができるもので、ハイレゾ対応の音楽を再生したり、radikoやYouTubeを再生したりして楽しめます。ゲームであれば「RetroPie」が有名です。これらのOSについては、回を改めて解説したいと思っています。

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