今さらきけない「ラズパイってなんですか?」
今さらきけない「ラズパイってなんですか?」 第3回 Raspberry Pi OSって何ですか
前回はRaspberry Pi(ラズパイ)の歴史やインターフェースについて解説しました。ラズパイを動かすためには、AC電源やmicro SDカードが必要なことがお分かりいただけたでしょうか。今回はラズパイを制御するOS(オペレーティングシステム)について解説していきます。
今さらきけない「ラズパイってなんですか?」
第12回 キャラクターディスプレイモジュールって何ですか
第11回 抵抗? コンデンサー? IC? ラズパイで扱う電子パーツについて教えて!
第10回 ラズパイでLチカって何ですか
第9回 ラズパイでWindowsとやり取りするにはどうしたらいいですか
第8回 「Windowsでラズパイを使う」って何ですか
第7回 ラズパイで使う「コマンド」って何ですか
第6回 ターミナルソフトって何ですか
第5回 GPIOって何ですか? 機能や役割は?
第4回 ラズパイを使う準備って何をしたらいいですか
第3回 Raspberry Pi OSって何ですか
第2回 ラズパイってどうしたら使えますか
第1回 ラズパイってなんですか
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ラズパイはRaspberry Pi OSで動く
パソコンが「Windows」や「macOS」で動作しているのと同じように、ラズパイは「Raspberry Pi OS」で動作します。Raspberry Pi OSは、「Linux」と呼ばれるOSカテゴリーにあるOS「Debian」から派生したものです。このため、ファイル操作のコマンドはLinux標準のものを使うほか、Debianで使われている「apt install」というアプリをインストールするコマンドや、「apt update」「apt upgrade」といったプログラムのアップデートコマンドなど、Debianと同じものを使います
Raspberry Pi OSをSDカードにインストールするためには「Raspberry Pi Imager」を使います。以下の種類のRaspberry Pi OSをインストールできます。
- Raspberry Pi OS(32ビット)
- Raspberry Pi OS Lite(32ビット)
- Raspberry Pi OS Full(32ビット)
- Raspberry Pi OS(64ビット)
- Raspberry Pi OS Lite(64ビット)
- Raspberry Pi OS(Legacy)
- Raspberry Pi OS Lite(Legacy)
Raspberry Pi OSは32ビット版と64ビット版が用意されていますが、64ビットはRaspberry Pi 3/4/400でしか動作しません。その他のOSですが、「Lite」とあるものはRaspberry Pi OSを最小限の構成で動作させるためのものです。Raspberry Pi Zeroなど、SoCのパワーが非力な場合はLiteを使うことになります。「Legacy」ではRaspberry Pi OSの以前のバージョンをインストールできます。Raspberry Pi OSの最新バージョンは「Bullseye」ですが、例えば1つ前の「Buster」をインストールするときにはこちらを使います。
なおインストールするのは32ビット版と64ビット版のどちらがいいのか気になる方も多いでしょう。32ビット版では1プロセスあたりのメモリー使用量が3GBまでとなっていました。64ビット版になるとそれ以上のメモリーが使用可能となるので、8GB版のRaspberry Pi 4 Model Bであれば高速動作が期待できます。
そこで「UnixBench」という、昔から使われているベンチマークテストソフトがありますので、こちらをRaspberry Pi 4Bで実行してみました。「4 CPUs in system; running 4 parallel copies of tests」における「System Benchmarks Index Score」の値は以下のようになりました。
結果を見ると分かるように、いずれのメモリー搭載容量でも、64ビット版の方がパフォーマンスが上がっています。加えて8GB版の場合はよりパフォーマンスが向上していることが分かります。なおUnixBenchは64ビットネイティブアプリではないので、あくまでも64ビットOS上で動作する32ビットアプリとしての結果ですが、参考にはなりますね。
Raspberry Pi OSをインストールしよう
ではRaspberry Pi OSをインストールしてみましょう。その手順は以下の通りです。
OSとmicroSDメモリーカードの選択を終了してメイン画面に戻ると、右下に歯車のアイコンが表示されます。これはRaspberry Pi OSを選んだときだけに表示されるもので、これをクリックすると、インストールするRaspberry Pi OSにSSH(セキュアシェル:別のコンピューターからログインするためのプロトコル)でアクセスできるようにしたり、Wi-Fiやロケール(言語環境)の設定、ログインユーザーとパスワードの設定ができます。これは2021年の春にRaspberry Pi Imagerがバージョンアップした際に隠しコマンドとして用意されたものですが、正式に採用されて使えるようになりました。これが利用できるようになる前は、microSDメモリーカードに「ssh」という空のテキストファイルを用意したり、Wi-Fiの設定ファイルである「wpa_supplicant.conf」を作ったりしなければならなかったので、とても便利になりました。
なおRaspberry Pi OSの書き込み時ですが、以下のように設定すると便利です。
- ホスト名を変更する
- 「Enable SSH」にチェックを入れておく
- Wi-Fiを設定し、「WiFi country」を「JP」にする
- ロケール(locale)を「Asia/Tokyo」にする
- 「Keyboard layout」を「jp」にする
設定が終わって再びメイン画面に戻ったら、右にある「WRITE」がハイライト(白地になる)されるようになるのでこれをクリックします。するとOSの書き込みが始まります。終了したらmicroSDメモリーカードを取り出し、ラズパイにセットすれば、デスクトップが起動します。
Raspberry Piは、ディスプレイに接続しなくても利用できます。上記の設定である通り、SSHが使えるようにして、「TeraTerm」などのターミナルソフトをパソコンで起動し、ホスト名を指定してログインすれば利用できます。その際には「ホスト名.local」と入力することでアクセスできます。
ラズパイ関連のWebサイトや雑誌ではPythonなどのプログラムが掲載されていることがありますが、これらのプログラムは、ほとんどの場合がCUI環境での操作となります。筆者も通常はラズパイを起動したらTeraTermかリモート接続ソフト「VNC Viewer」でラズパイに接続し、リモート操作をして使っています。以下のような手順です。
ラズパイにインストールできるOSは
Raspberry Pi OS系以外に、Raspberry Pi Imagerでインストールできる代表的なOSは以下の通りです。
★他のLinux系OS
- Ubuntu
- Manjaro ARM Linux
- Apertis
- RISC OS Pi
★メディアプレーヤー系
- LibreELEC
- OSMC
- Volumio
★ゲーム系
- RetroPie
- Recalbox
★その他のOS
- 3D printing
- Home assistants and home automation
- info-beamer digital signage
- FullPageOS
- ALT
Linux系OSでは、Raspberry Pi OSの元になったDebianから派生した「Ubuntu」が有名です。メディアプレーヤーは、Raspberry Piで動かすことができるもので、ハイレゾ対応の音楽を再生したり、radikoやYouTubeを再生したりして楽しめます。ゲームであれば「RetroPie」が有名です。これらのOSについては、回を改めて解説したいと思っています。