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今さらきけない「ラズパイってなんですか?」

今さらきけない「ラズパイってなんですか?」 第11回 抵抗? コンデンサー? IC? ラズパイで扱う電子パーツについて教えて!

これまで解説してきた通り、Raspberry Piには「GPIO」というインターフェースが備わっており、これを経由していろいろな電子パーツを制御できるようになっています。前回はGPIOにLEDを接続して光らせる「Lチカ」について解説しましたが、ここでも使われているのが「電子回路」です。電子回路を構成するために使うパーツはさまざまなものがありますが、基本となるのは以下のようなパーツです。

○抵抗

電子回路の中で、電圧を操作するために使うのが「抵抗」です。抵抗には一定の抵抗値を持つ「固定抵抗」と、ボリュームなどで抵抗値を変化させられる「可変抵抗」があります。

抵抗の例 抵抗の例

○コンデンサー

電子回路の中で、電気をためたり放出したりする役割を持つのが「コンデンサー」です。電流が不安定な場合でも、コンデンサーに電気をためることで、安定した電流を流せます。直流回路では絶縁する役割も持ちます。

コンデンサーの例 コンデンサーの例

○トランジスタ

電流を増幅したり、コントロールしたりするときに使うのが「トランジスタ」です。3本足で構成されており、それぞれベース(B)、エミッタ(E)、コレクタ(C)の役割が与えられています。プラスの性質を持つP型半導体と、マイナスの性質を持つN型半導体の組み合わせで使われています。NPN、またはPNPで構成されます。

トランジスタの例 トランジスタの例

○ダイオード

ダイオードは、電流の逆流を防いだり、電圧を一定にしたりする働きを持ちます。先ほどのトランジスタでも書いたP型半導体とN型半導体が組み合わさって作られています。LED(発光ダイオード)もダイオードの一種で、その名前の通り、電流を流すと光を発するデバイスです。LEDには赤/緑/オレンジ/黄/青/白といった色が用意されているほか、2色を1つのデバイスに組み込んでいるもの(オレンジと緑のものがよくあります)、赤/青/黄を組み込んでフルカラーLEDとして使うものなどさまざまな種類があります。形も、今回紹介した一般的な砲弾型のスタイルのほか、ドーム型になっているもの、複数のLEDをリボン状に組み合わせて使うものなどがあります。

ダイオード(右)と発光ダイオード(左)の例 ダイオード(右)と発光ダイオード(左)の例

○IC

複数の回路が納められているチップが「IC」です。複雑な電子回路を組まなければならない場合、ICを使うことでスッキリと設計できるようになります。さまざまな種類のICがあり、タイマーの機能を持つもの、電流を大きく増幅するのに使うもの、電子回路を制御するものなど、その役割もいろいろです。

ICの例 ICの例

こうした電子パーツの他に、ラズパイで電子回路を構成するために使うパーツがあります。その例をご紹介しましょう。

○ブレッドボード

「ブレッドボード」は、電子回路をテストするために使うものです。プラスチックでできているボード上に電子部品を差すための穴が空いています。それぞれの穴はブレッドボード内部で縦のライン状につながっており、電気が流れるようになっているのです。またブレッドボードの中央にくぼみがあり、ここを境に上と下に分かれます。

また、ブレッドボードの端にある青と赤の線が引かれている部分は、横に配線がつながっているのが特徴です。GPIOの3.3Vや5Vから引いてきた電源を赤い線の位置に、GNDを青い線の位置につなげて使います。

ブレッドボード。大小さまざまなものがある ブレッドボード。大小さまざまなものがある

○マイクロスイッチ

Raspberry Piではデジタル入出力が扱えるため、スイッチのオンオフで操作できます。このために使うのが「マイクロスイッチ」です。ブレッドボードに配置して使います。

マイクロスイッチ マイクロスイッチ

○ジャンパー線

Raspberry PiのGPIOとブレッドボード、その他のパーツをつなぐのに使います。Raspberry Pi側には「メス」、ブレッドボードには「オス」のピンを差します。ブレッドボード上のパーツをつなぐためには「オス」-「オス」タイプのジャンパー線を使います。

なお一般的なジャンパー線はリード線で作られていますが、多くのパーツをつなげるとごちゃごちゃしてしまいますので、背の低いタイプのジャンパー線も売られています。ブレッドボード上の配線はこちらを使う方が良いでしょう。

ジャンパー線は、20本程度あれば良いかと思います。

ジャンパー線のオス-オス、オス-メスとショートタイプのもの ジャンパー線のオス-オス、オス-メスとショートタイプのもの

電子回路とは

「電子回路」を難しい言葉で定義をすると「回路素子と呼ばれる構成部品に対して、電気を通す導線によって一定の機能を持つように構成した回路」です。つまり電池やAC電源などの電源を用いて、そこから導線を引いて回路につなぎ、LEDや抵抗などの素子とつなげて構成することを電子回路と呼びます。

素子として用意されるのは単体の豆電球などから、コンデンサー、トランジスタといった電子部品を複雑に組み合わせたものまでさまざまです。普段何気なく使っているPCも、こうした部品を利用した電子回路によって作られています。

○電圧とは

「電圧」とは、2つの極の間に流れている「電位の差」をいいます。電圧を表す単位は「V(ボルト)」です。ACアダプターの12V、家庭用電圧の100Vなど、どれだけの電圧を利用できるかが書かれているのでおなじみですね。ラズパイのGPIOには3.3Vと5Vの電源が用意されています。

○電流とは

「電流」とは電気が流れている量のことで、単位は「A(アンペア)」で表されます。なお電子回路では「1A」のような大きい電流を扱うことはありません。ほとんどの場合、「mA(ミリアンペア)」の単位の電流を扱います。

電圧と電流、抵抗の値における関係を表した法則として「オームの法則」があります。中学校の理科で習ったことを思い出された方もいるでしょうか。ドイツの学者であるゲオルク・オームが公表したので、この名前が付いています。

オームの法則の基本は以下の通りです。

電圧(E)=電流(I)×抵抗(R)

それぞれが三すくみで、電圧と電流が分かれば抵抗値が分かり、抵抗と電圧が分かれば電流が分かるようになっています。このあたりは前回のLEDの抵抗値を決めるときに触れましたので、参考にしてください。

電子回路を組む上での注意事項

電子回路を組む際の注意事項について確認していきましょう。

ブレッドボード上でリード線やパーツをつなげている際、リード線同士が接触したり、パーツの足が交差して触れてしまったりして、回路がショートすることもあります。ショートしたまま電源を入れると、回路が動作しないばかりか、最悪の場合はラズパイが壊れる、発火事故が起きるといったリスクもあります。パーツがうまくつながっているのか、必ず確認するようにしましょう。

またLEDや電解コンデンサーなどのように極性を持つパーツの場合、逆に取り付けてしまうと動作しません。パーツを壊したりすることもありますので、こちらについても十分に気を付けていきたいものです。

このほかパーツには、ICなどのようにピンによって機能が与えられているものもあります。目的のピンにしっかりと刺さっているのか確認しておきましょう。ICには表面に切り欠きやくぼみがあり、それを上に見たときの左上にあるピンが1番ピンになります。ピンの配列はデータシートでしっかりと確認しておきましょう。

ICに付いている切り欠きとくぼみ。くぼみの左側が1番ピン ICに付いている切り欠きとくぼみ。くぼみの左側が1番ピン

デジタル回路とアナログ回路の違い

よく「デジタル回路」とか「アナログ回路」などと言いますが、これはどのような違いがあるのでしょうか。

アナログ回路とは、電気的特性がリニアに変化するものを呼びます。例えばアンプなどのボリュームを想像してください。つまみを回して可変抵抗を変化させると、音量が大きくなりますね。これはアナログ回路の一種です。

その一方でデジタル回路とは、「0(オフ)」か「1(オン)」かで構成されているもので、ある入力量が特定の入力量より多いか(オン)少ないか(オフ)で判断するものをいいます。先ほどのボリュームで考えると、リモコンなどで操作した場合は、音量を増やす(オン)か、音量を減らす(オフ)か、どちらかの指示がアンプに対して与えられるので、音量を操作できるわけです。ざっくり言うと、アナログ回路とデジタル回路には、このような違いがあります。

次回は電子回路についてもう少し掘り下げていきます。

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