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fabcross Meetingレポート

【fabcross Meeting】RAPIROに学ぶ、戦略的クラウドファンディング

2014年3月23日、fabcrossによる初の主催イベント「fabcross Meeting vol.01」が開催された。当日はエンジニアを中心とした約100名が参加。ものづくりの現状や、未来でのあり方について考えを深めた。第一部で登場したのが、世界最大級のクラウドファンディングサイトKickstarterで日本初のハードウェアによるファンディングに成功した人型ロボットキット「RAPIRO」だ。本記事では、RAPIRO開発者であり、機楽CEOの石渡昌太氏の講演をレポートする。

社員ひとりの会社で、ロボットを開発・海外販売を行う

第一部「CES2014からみるものづくりのこれからと機楽の挑戦」で講演した機楽CEO 石渡昌太氏。 第一部「CES2014からみるものづくりのこれからと機楽の挑戦」で講演した機楽CEO 石渡昌太氏。

クラウドファンディングを通じて資金調達を実施した人型ロボットキット、「RAPIRO」を持参して登壇した機楽CEOの石渡氏。無事に資金調達を終えた現在は、「RAPIRO」組み立てキットの全世界への販売に向けて注力している。

Kickstarterのハード部門で資金調達に成功した日本人は石渡氏が初だという。社員1名の会社がどうやってここまでこれたのか、といったところから講演は始まった。

クラウドファンディングのためのロボット戦略

今回、石渡氏がクラウドファンディングサイトのKickstarterを利用したのは、単なるロボット制作の資金集めのためではなかった。むしろその逆で、クラウドファンディングのためのロボット制作だったという。

「RAPIROを開発したきっかけは、クラウドファンディングが世界的な流れになっている中で、日本からプロジェクトが出ていない、と考えたからです。同時に、日本でも3Dプリンタのブームも始まっていました。それらを組み合わせたものを日本から世界に出したいと思ったんです」

クラウドファンディングは、まず自分の実現したい企画があって、それに対してお金を募るためにプロジェクトを投稿するのが基本だが、石渡氏の場合は逆の視点からのアプローチだ。制作物がロボットであることにも、クラウドファンディングを成功させるための戦略的な理由があった。

「クラウドファンディングでお金を出してくれるような層はどこか。それを考えたところから、RAPIROは始まりました。ポイントは、クレジットカードを持っている層は誰かということです。そこで、ぼくが子供のときに見ていたロボットアニメを思い出し、ロボットプロジェクトなら、今の大人世代から資金が集まるのではないか、と考えました」

以前、センサで心拍数を計測し、心拍数に応じて揺れるしっぽの「Tailly」をクラウドファンディングサイトで資金調達したが、目標額を達成できなかった反省がRAPIROに活きているという。そうした経験をもとに、Kickstarterで402名の賛同と、7万5000ポンド(約1270万円)もの資金を集めることに成功した。 

巻き込み型ものづくりチームワーク

クラウドファンディングサイトでの経験やノウハウについての質疑応答も行われた。 クラウドファンディングサイトでの経験やノウハウについての質疑応答も行われた。

ひとりでものづくりをするにはさまざまな限界がある。石渡氏は、多くの企業や人脈を巻き込むことによって、その問題を解決していた。

「設計からプロトタイプができるまでは、4カ月かかりました。僕が3Dデータを作った時点で、金型製作のミヨシに見積もりを出してもらっています。その後、3Dプリンタ出力代行のJMCに試作品をプリントしていただき、そのプロトタイプでプロモーションビデオを制作しました。自分ですべて基板を作ったら大変なので、電子部品の製造・販売を行っているSWITCHSCIENCEに相談しました。こうした一連の役割を分担したうえで、クラウドファンディングを始めたんです」

一方、クラウドファンディングの運用に関しては、ほぼひとりで行ったという。プロモーションビデオはカメラマンと2人で作り、英語の文章もネイティブの友人と作成して、全世界に向けたプレスリリース配信まで石渡氏が行った。プロジェクトが公開されると取材依頼が殺到し、それらの対応や回答であっという間に1年が過ぎていったという。 

アメリカでの評価、RAPIROの今後

休憩時には、展示したRAPIROに多くの人が集まり、実物を前に触ったり写真撮影したりしていた。 休憩時には、展示したRAPIROに多くの人が集まり、実物を前に触ったり写真撮影したりしていた。

石渡氏はRAPIROのプロモーションのため、ラスベガスで1月に開かれた世界最大の家電見本市「CES2014」に参加してきたばかり。そこでの手応えはどうだったのだろうか。

「引き合いはすごくありました。ソニーやNECなどをはじめとする国内の大手メーカー、Intelなど海外メーカーの方も多く来場するため、その人たちに直接手にとってもらえる良い機会でした。Amazonの教育分野担当の方にすごく関心をもってもらえたり、それまで全然知らなかったメキシコの会社から500台の見積依頼がきたりしました。最大で5000台、という見積依頼もきています」

出展費用も、国内クラウドファンディングサイト「Makuake」で調達したという。Kickstarterとは別に、560万円もの資金が集まった。日本人のRAPIROファンの方には、日本語のクラウドファンディングサイトでもプロジェクトを立ててくれて助かった、と喜ばれたという。

石渡氏は、RAPIROのさらなる認知度拡大やアップデートを考えている。

「サポート体制などがまだ不十分のため、体制強化に務めていきたいと思っています。それが落ち着いたら、次はキャラクタータイアップをしてみたいと考えています。昔ながらの有名なキャラクターのロボットができれば、ユーザーの方にも楽しんでいただけるのではと思います」

一家に一台、簡単なプログラミングでカスタマイズができる、小型キャラクターロボットを展開できる可能性もあると石渡氏は語り、講演は終了した。 

 

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