Fabbleの使い方
ものづくり教育の現場でFabbleを使う——慶應義塾大学SFC「オープンデザイン実践」での取り組み
授業の成果とこれから
当時環境情報学部1年だった西村海波さん、清水友理さんの作品は、体育会系学生のための筋トレを兼ねてコンピュータを使うことができる「エクサマウス!!!!」。マウスにゴムチューブを取り付けて、その動きにあえて制限を与えるという斬新な発想のもとで開発されました。
当時大学院政策・メディア研究科1年の中垣拳さんが作ったのは、検索したい情報や興味などに応じてホイールの硬さが変わる「Attention Scroller」。サーボモーターを内蔵して、ホイールの回転の抵抗をコントロールしました。このほか、自発的に動き、ユーザを導く「living mouse」(河野通就さん)や手の甲で操作可能な「手の甲マウス」(木場晋太郎さん)など、個性的な作例が並びました。これらの成果物は、Mozilla Japanオフィスで開いた展覧会「OPEN! Mouse Exhibition」に、Fabbleと共に展示されました。
制作結果物のみならず、制作日誌(プロセス)を公開/共有するFabbleは、今回の授業のように、ハードウェア/ソフトウェアにまたがるものづくりのプラットフォームとして、またコミュニケーションツールとしての可能性を感じさせてくれました。紹介した講義の中で踏み込みきれなかったのは、制作物やそのプロセスの「派生」を可能にするというFabbleの持つもう一つの特徴です。研究活動など、より長期間のプロジェクトでもFabbleを用いることで、メンバーやコミュニティ間で知見やアイデアの派生/継承を促すツールとしても活用していきたいと考えています。