Fabbleの使い方
Fab(ble)から生まれた新しい教育/学習スタイルとは?——「ものづくり」と「ものがたり」の連動・補完・相互作用
さらにFabbleが広がってゆく
Fabbleはいま、私たちの当初の想定を超えて広がりつつあります。学校や教育機関、ハッカソンやメイカソン、ファブラボやメイカースペースでの使用は想定していましたが、さらに私たちの知らなかったコミュニティの方々にまで届き始めています。
いま具体的なコラボレーションを進めている領域のひとつに、訪問看護や在宅介護のような「ケア」にかかわる方々がいます。病院のように規格化・画一化されているわけではない、個々の「自宅」でケアを行う場合、とにかく現場に合わせて多様な道具が必要になるそうです。その必要な道具を、たとえばペットボトルやありあわせの手短な素材を使って手早く作ってしまう、そんな知恵がケアの現場ではすでに行われてきました。しかし、そのような知恵は意外と流通していないそうなのです。他の介護現場でも同じような悩みを抱え、同じようなアイデアが生かされる場所があるかもしれないのに、そこをつなぎ、シェアする情報プラットフォームがこれまでなかったと聞きます。
これと同様の話は、赤十字のスタッフの方からも聞きました。必ずしも「デジタル」ファブリケーションのレシピではなくても、現場で迅速にものを作り、課題に対処するための知恵を、他の人たちと分かち合いたい。そういったニーズが世間にはあふれていたのです。Fabbleでは、そうした要望にも応えようと、新たなフェーズがすでに始まっています。
Fabbleの側が、「デジタル」一辺倒ではない、アナログ感の強い現場の声を聞きながら新たな機能へ広げていこうとしている一方で、逆に訪問看護の現場で「3Dプリンタ」に興味を持っていただき、「デジタル」を自然なかたちで取り入れていこうとする流れもあります。Junki YoshiokaさんのFabbleページはその好例でしょう。
Fabbleのみならず、デジタルファブリケーションをさらにアクセスしやすいものにしたいという考えから、私たちは昨年から、インターネット上にある3Dプリンタ用の多種多様なSTL形状データを検索できる「Fab3d.cc」、ファブラボにある切削機械や各社のレーザーカッター等の制御データを統一的にブラウザ上で生成することができ、工作機械の個人用設定ファイルを「保存」することもできる「Fabcam.cc」など、新しいウェブサービスもリリースし始めました。こうしたサービスとFabbleを有機的につなげていくのも今後の課題です。
Fabbleは、さまざまなコミュニティや、複数のサービスを結び付ける「結節点(ハブ)」になっていくような気がします。これからのFabbleの展開には、まだまだワクワクする出会いが待っています。ぜひみなさんもさまざまな場面でご活用ください。