fabなび
PTA(東京 池尻大橋)
日本全国のファブ施設を紹介する「fabなび」。今回は、東京都世田谷区にある「PTA」(Protype Thinking Area)。廃校になった中学校の校舎を再活用した、クリエイター向けのオフィス兼ギャラリー兼レンタルスペース「IID 世田谷ものづくり学校」内にあるファブスペースだ。
※当施設はファブラボ世田谷に名称を変更した後、2022年1月現在運営を終了しています。本記事は取材当時のものです(fabcross編集部追記 2022年10月5日付)
IID 世田谷ものづくり学校は、2004年10月にオープン。産業振興、地域交流、観光拠点という三つの目的に沿ったでの運営を行っている。現在、クリエイターやデザイナーといったものづくり関連に従事する企業、個人が40社以上入居している。
また、カフェを併設していたり、レンタルスペースでイベントやセミナーなども随時開催しているため、地域住民の利用も多い。
「産業振興というミッションのもとで、製品やサービスをここから次々と送り出したいという思いがありました。そこで、館内に実際に試作できる場があれば、アイデア出しから製品開発までワンストップで行えるのではないかという構想が、PTAを作ろうと思ったきっかけですね」(株式会社ものづくり学校 企画室 広報・施設担当 大前敬文さん)
使用できる機材は、3Dプリンタ、レーザーカッター、3Dスキャナ、3Dモデリングツールなど。3Dプリンタの「Projet 4500」や、3Dモデリングシステム「Freeform With Touch」など、あまりほかのファブ施設で見かけないプロ向けの機材があるのが特長だ。
利用するには、会員登録が必要。登録には3000円の手数料が必要となるが、更新料はかからない。また、自分で機器を操作する場合には、初期講習費として1000円が必要となる。
利用するのはオフィス入居者だけでなく、近隣の住民も多いそうだ。
「現在は外部の方が比較的多い状態です。この辺りはファミリー層が多く住んでいるのですが、もともとデザイナーやクリエイティブな仕事をされていた主婦の方がたくさんいらっしゃるので、女性の利用者が多いですね」(LAB.ディレクター/Webディレクター鐘居和政さん)
そのほか、仕事ではイラストなどの2D関係を手がけている人が、3Dでの造形を始めたいという理由で利用したり、個人でレーザーカッターを使ってキーホルダーを作ったりという人もいるとのこと。
「僕らとしては、地域の人たちの図工室のような感じで気軽に使ってもらえる場所になってほしいという思いと、産業という面で製品開発が行われる場にしたいという気持ちがあります。そのため、企業やメーカー、ここの入居者にも、地域の住民の方にも使っていただけるようになればと思っています。結構両極端なんですけど、それが同時に機能できる土壌は10年以上の運営から築けているはずです」(大前さん)
中学校の校舎をそのまま利用していること、誰もが気軽に立ち寄れることもあり、かなり開放的な雰囲気のIID世田谷ものづくり学校。そのため、お子さんからお年寄りまで、さまざまな人がPTAに訪れる。
最近では、全国の行政機関の視察も多いとのこと。廃校利用のサンプルケースとして、IID世田谷ものづくり学校およびPTAが注目されているのだ。
イベントやワークショップも数多く開催しているが、なかでも、機材の無料体験会や3Dモデリング講座などは人気が高いそうだ。
ものづくりに興味がある方はもちろん、ない方でも気軽にファブ機材やものづくり体験ができる貴重な施設。近所にお住まいの方は、一度散歩がてら立ち寄ってみてはいかがだろうか。
概要
所在地 |
東京都世田谷区池尻 2-4-5 |
---|---|
営業時間 | 11:00〜19:00 月曜定休 |
Webサイト | http://p-t-a.net/ |
料金 |
3Dプリンタ 3Dスキャナ モデリングツール レーザーカッター カッティングマシン |
備考 |
入会金3000円(2015年8月末まで無料)、初期講習費1000円(セルフ利用の方のみ)。Projet 4500は請負製造のみ。価格は要相談。 |