今月もクラウドファンディングに◯◯万円使っちゃいました by Kibidango
5年待っても僕がテスラの車を欲しかった理由——テスラが実証した「クラウドファンディング」的な事業成長の軌跡
ビデオの中でマスクは続けます。
「市場の半分はセダンを、残りの半分はSUVを求めていると見て、モデルSのプラットフォームの延長線上にモデルXを作ろうということになりました。これらのモデルは共に非常に重要です。なぜなら、モデル3を開発するためには、モデルSとモデルXからの利益が必要であったからです。」
4ドアSUVであるモデルXは、米国では2015年9月にデリバリーを開始しましたが、日本でのデリバリーが始まったのはそこからさらに18カ月遅れの2017年1月。我ながら良く待ったものだと感心します。
そして、テスラの物語はまだまだ続きます。2016年3月に発表された、よりリーズナブルな価格の4ドアセダンとなるモデル3は、定価3万5000ドル(約395万円。日本での価格は未発表)。
「モデル3は大量生産のモデルです。コストを削減し、生産能力を高めるためには莫大な資金が必要です。モデル3の開発はモデルSとXにより賄われました。ですから、モデルSとXをご購入いただいた皆さんのおかげで、モデル3を開発することができました。ありがとうございます。モデル3があるのは、皆さんのおかげです。舞台の脇にSとXが置かれています。もちろんファルコンウィングドアも健在です。これには私たちも苦戦しましたが……ちゃんと動いています」
予約金は1000ドル(日本では15万円)。同社発表では予約開始直後に37万5000人が予約したとのこと。これだけで3億7500万ドル(約423億円)です。2017年12月末の予約金残高は6億6400万ドル(約750億円)。この中にはモデルSやモデルXの予約金も含まれますが、それにしてもすごい金額です。
もちろん同社がこれまでに調達した金額(約2700億円)とくらべればまだまだ小さいですが、それでも皆が「まだ見たことのない未来」に夢をはせて託したお金が、イーロン・マスクとテスラの果てしない挑戦を支えていると考えたら、何かすてきじゃないですか?
まだ見ぬ夢に共感し、個人がお金を先に払ってその夢の実現に協力する。そしてその結果として、自分にとって意味のある価値を手にする。これってクラウドファンディングとそっくりですよね。
モデル3は、2018年には50万台を生産する予定とのこと。これはBMWの3シリーズに匹敵する数字です。
そのために必要となるのが、大量の電池。この問題を解決するために、パナソニックと組んでバッテリー工場「ギガファクトリー」を新設。世界中で生産されている全てのリチウム電池よりも多くの生産量を可能とする「ボーイングの飛行機工場に次ぐ、世界2番目に大きい」工場だそうです。
2月にはプロトタイプの生産を開始、今年後半には出荷を始め、2017年末には週1万台ペースでの生産を目指す予定とのこと。この手の発表があると、必ず「テスラの生産計画にたれ込める暗雲」というような否定的な記事が出るのですが、面白いことに同社をフォローする株式アナリストが書いたレポートには「どれだけ我々が否定しようと、熱狂的なテスラ信者である株主はそんな意見には耳を貸さずに同社の将来を信じ続けるのだろうが」とやや諦め調子です。
かくいう僕も、そんなテスラ教の一信者、なのかもしれません。
注:為替レートはそれぞれの時点でのもの