Makers’ Base連載企画「Makers’ Bar」
キーワードは「午前0時」——そこから生まれる十人十色な5cmの立方体
「5×5×5 Cube Etude——午前0時編」、1月30日には16点の作品が集まり、30人近い方に集まっていただきました。中にはパッケージまで作り込んだ作品や、制作のために必要なマシンを使いにはるばる関西まで足を運んだという力作まで!
さて、「午前0時」と言われて、あなたが最初に思い浮かべたものは何だったでしょうか?
「午前0時と言えば、真夜中」今回はこの連想から始まる作品が多く並びました。しかしながら、そこから始まる解釈の連鎖は作者ひとりひとりで全く異なり、さまざまな作品が生まれました。
真夜中に見上げる星座のキューブ
1つ目に紹介するのは「午前0時→真夜中→星空→星座」という連想から生まれた、星が輝くキューブ作品。一見すると木でできた2つのブロックですが……
2つを近づけると、何と片方のキューブに星座が輝き始めました!
光る方のキューブは完全に閉じた構造をしていますが、ワイヤレス給電でLEDを光らせる仕組みになっています。給電側のキューブで発振させた電気をコイルとコンデンサで共振(強くする)して、相手のコイルとコンデンサに電力を伝えています。光るキューブは厚さ3mmの木材で制作し、コイルが入る1面を除いた残り5面に1.5~2.0mmの穴を星座型に配置。さらにその上に薄いヒノキ突板(0.3mm)を貼って穴をふさいでいるので、まるで無垢の木のブロックが突然星座を浮かび上がらせるように見える、魔法のような仕上がりになっています。
闇をまばゆく、光で照らす
一方で、「午前0時→真夜中」と解釈したところまでは一緒でも、そこから「ネオンのような人工的な光」という答えを出した参加者も。3×3×3個のLEDが規則的にチカチカと輝く作品です。
作者の方に伺うと、「最近、電子工作を趣味で始めたため、手習いも兼ねて作成しようと思いました」とのこと。LEDを空中配線して、PICマイコンのプログラミングで点滅を制御して制作されています。交互にLEDが放つ光が、配線の幾何学的な影をテーブルの上に代わる代わる落とし、さながらライトに照らされる5cmの小さなライブステージのような雰囲気を醸していました。
夜空に舞う、オーロラを閉じ込める
明るいLEDの輝きと暗闇のコントラストで「夜」を表現した作品が並ぶ一方、「午前0時→真夜中→オーロラ」という連想から、夜空を漂うオーロラのようにさまざまな色を帯びるキューブも登場しました。
無垢のアクリルキューブを材料にしたこの作品。当日の投票では最も「美しい」の票を集め受賞しました。
キューブの3面が、それぞれUVプリンタの透明なCMYインクで着色されており、一方、着色された面と向かい合う面には色がつけられていません。
この透明なキューブをくるくると回転させながら眺めると、隣り合う面の色同士が屈折しながら重なって混色が起きたり、色のついたアクリル越しに景色が見えたりと、まさにオーロラのように次々と表情を変えていきます。仕組みは極めてシンプルですが、非常に美しい表現が生み出されています。