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Makers’ Base連載企画「Makers’ Bar」

4回目は原点回帰 5×5×5cmのキューブを作る

金工で作る美しいキューブ

銀色の質感が美しいこのアルミのキューブ。「30年続けてきた彫金の技術で、何かキューブを作れないか」とイベント当日の昼に思いつき、構想と作業を同時に進めながら3時間で仕上げたという作品です。

リューターなど彫金で使用するさまざまな道具を使い、キューブの各面にはそれぞれジュエリー制作で使われる異なるテクスチャ仕上げが施されています。サテンのような質感、荒れた金属の質感。手仕事ならではの美しさがあります。上面にハンドドリルで開けられた穴に収まっているのは、こちらも手仕事で作ったという銀製のつまようじ。つまようじの持ち手には半貴石が留められており、何ともエレガントなつまようじセットになっています。

職人の手仕事で作られたこの光沢が美しいキューブが、「美しい賞」に選ばれました。 

デスクトップではたらくキューブ

かわいらしい箱から現れたのは、3種類のステーショナリーのキューブ。写真左から、キューブ黒板、キューブ一輪挿し、キューブ貯金箱になっています。

「普段はデザインの仕事でパソコンと向き合ってばかりなので、最近時間を見つけてアナログな手作業をするようになりました」というお話の通り、全て作者の方の手作りです。黒板は単に上面に文字が書けるだけでなく、鉛筆置場があり、鉛筆削り器と消しゴムもキューブに組み込まれて1つのセットになっています。一輪挿しは黒檀に穴を開けて、カットしたガラス試験管を挿したもの。貯金箱は革を手縫いして制作されています。

並んだ姿がかわいらしく、また、1つ1つの作品のプロダクトとしてのクオリティが非常に高い作品です。プレゼンテーションの最中から「売ってたら買う!」の声が飛び交い、最終的に「ほしい賞」に選ばれました。

家に置きたい、手仕事のためのキューブ

魅力的な作品がそろう中、今回の「最優秀作品」に選ばれたのはこのお針箱でした。

「Makers’ Baseの全トレーニングを受けています!」という作者の方は、普段はステーショナリーなどを中心にさまざまなイベントで手仕事の作品を出展されたり、ワークショップを開催されたりしています。

箱は革で作られていて、手仕事でしかできない駒合わせ縫いという縫い方で仕立てられています。フタを開けると、小さな裁縫キットが収められています。メジャーのバンドも手作りし、糸巻も木工旋盤で作って蜜ろうで仕上げ、針山はキューブ模様の布で作るというこだわりよう。なかなかお針箱ですてきなものを市販のもので見かけることが少ないですが、家に置いて愛用したくなる、美しくて魅力的なキューブでした。

Vol.4で印象的だったことは、各賞を手仕事で作られた作品が占めたことでした。受賞作品が並んだ様子を見て強く感じたのは、「仕上げ」の美意識の高さ。何かを作品としてプレゼンテーションするためには、ものの背景にある物語を言葉として紡ぐだけでなく、その物語を雄弁に語れるほどにもの自体にもこだわりや美しさが必要なんだと、改めて感じさせられる非常にクオリティの高い作品が集まる回となりました。

次回のキューブは、「札幌」がテーマ。

「Makers' Bar 5×5×5 Cube Etude」、Vol.5は先日7月17日に開催されました。近日中にレポート記事で作品を紹介したいと思います。また、9月にはVol.6も開催予定です。
Vol.5は「札幌」というテーマで開催しました。なぜ札幌がテーマだったのか。そこには大きな理由があるのですが、その種明かしも合わせてお伝えしていきます。

ものづくりの体験をシェアできる「ものづくりの教室」であり、楽しさを分かち合う「ものづくりの宴」でもあるMakers’ Bar、皆さんのご参加をお待ちしています。

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