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LED 電子工作でおなじみの光る部品(上)

「Arduino」や「Raspberry Pi」といったシングル・ボード・コンピュータを使って電子工作に初めて挑戦するというメイカーズが最近増えています。こうした皆さんがプログラミングを学ぶための課題として、よく登場するのが「LEDを点滅/点灯させてみる」です。電気のエネルギーで光を発するLEDは、デジタル回路を利用したプロトタイピング・プラットフォームとの相性が良いことから、パーソナル・ファブリケーションの世界でも、“光”を提供する素材として様々な形で利用されています。今回は、このLEDの技術についてご紹介します。実は、このLEDの原理が発見されたのは20世紀のはじめのことです。その技術は、いまも進化しており、それとともに用途がどんどん広がっています。

半導体でできた小さな固体「LED」

LEDは、電気を流すと光を発する電子部品です(図1)。発光ダイオードとも呼ばれています。LEDの本体は、半導体でできた小さな固体です。これに電気を流すと固体自身が光を放出します。実際に皆さんがLEDとして手にするのは保護用の樹脂などで覆われたもので、樹脂から出ている接点やリード線から樹脂内部にある固体に電気を供給します。用途や目的に合わせて選べるように、市場にはさまざまな発光色や輝度(明るさ)のLEDがあります。砲弾型や四角いブロック型など形もさまざまです。

図1 パッケージに入ったLED (a)砲弾型(写真提供:日亜化学工業) (b)表面実装型(写真提供:ローム) 図1 パッケージに入ったLED (a)砲弾型(写真提供:日亜化学工業) (b)表面実装型(写真提供:ローム)

LEDの大きな特長は、電気のエネルギーを光に直接変換するのでエネルギーの利用効率が従来の光源よりも高いことです。最近、電気店の店頭で見かけるLED電球やLED照明が、省エネに貢献すると言われている大きな理由は、ここにあります。

電気によって光を出すものといえば、白熱電球や蛍光灯が最近まで一般的でした。LEDは、これらとは発光の原理が大きく違います。白熱電球では、フィラメントに電気を流して一旦電気を熱に変えます。この熱によってフィラメントが光を発します。蛍光灯は、密封されたガラス管の中に電気エネルギーを放出することによって、ガラス管内部に塗布された蛍光体を発光させています。つまり、白熱電球や蛍光灯では、いくつかのプロセスを経て電気を光に変えているわけです。これらに対してLEDでは電気エネルギーを固体の中で光に直接変換しています。 

さまざまな機器で活躍するLED

LEDが使われている機器は、身近なところに数多くあります。例えば、テレビやオーディオ機器、家電製品、パソコン、携帯電話の表示です。こうした電気製品には、電源のオン/オフや稼働状態を示す表示灯を備えています。こうした表示灯の光源のほとんどがLEDです。コンビネーションランプやヘッドライトにLEDを搭載した自動車も、いまや珍しくありません。

街頭の信号機も、いまやLEDを使った表示が主流です(図2)。青色、赤色、黄色の表示部分をよく見ると、それぞれの色の小さな点が並んでいるのが分かるでしょう。実は、この点の一つひとつがLEDです。小さなLEDを集めて大きな丸を表示しているわけです。 

図2 LEDの応用製品 (a)屋外用大画面ディスプレイ(写真提供:三菱電機) (b)交通信号(写真提供:京三製作所) 図2 LEDの応用製品 (a)屋外用大画面ディスプレイ(写真提供:三菱電機) (b)交通信号(写真提供:京三製作所)

繁華街の街頭に設置されている大型ディスプレイも、大量のLEDを使って実現したものです。家庭用のカラー・テレビの画面を拡大すると、画面が赤、青、緑の小さな四角や丸で構成されていることが分かります。カラー・テレビでは、この3色の配合を変えることによって、さまざまな色を再現しているのです。街頭の大画面ディスプレイでは、同じ仕組みを赤、青、緑の3色のLEDを使って実現しています。液晶テレビでも映像を表示する液晶ディスプレイを輝かせるバックライトの光源として数多くのLEDが使われています。

いまではさまざまな発光色のLEDが製品化されており、輝度(明るさ)も幅広い範囲を網羅しています。ただし、これらが一斉に市場に登場したわけではありません。材料を中心とした技術の進化とともに品種が増え、それとともに用途が広がってきました。後半では、LEDの進化の経緯を振り返ります。 

後編に続く

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