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2020年プログラミング必修化!「作る」ことで分かるSTEM教育

第4回 新たなマーケットの予感。STEMに沸き立つ教育市場の最前線をレポート

カスタマイズされたカリキュラム

——カリキュラムは、どんなものなのでしょうか?

和田:例えば4月にこの課題、5月にこの課題と決まっているわけではありません。最初はマニュアルみたいなものがあって子どもたちも見ながらやっています。徐々にそこから離れ、自分で作れるようなテーマへと導いてあげます。子どもを主体に考えていますので、彼らの理解度や興味関心に合わせ、その子自身が作りたいと思っているゲームなり、ロボットなりが作れるように、というのを目標にしています。最終的にはひとりひとりにカスタマイズされたカリキュラムで進めていく感じになります。

——具体的な教材あるいは道具としては、どんなものをお使いなのでしょうか?

和田:今のところ、ゲーム&アプリプログラミングコースではScratchやenchant.js、Unity、ロボットコースではLEGOのWeDoやマインドストームEV3、デジタルファブリケーションコースでは3Dプリンターといったところです。

ブロックを使って、自分の作りたいものを作る。はさみやテープも用意されており、紙でパーツを作ることもできる。 ブロックを使って、自分の作りたいものを作る。はさみやテープも用意されており、紙でパーツを作ることもできる。

望まれる先生の能力と役割

——教える側の先生はどんな役割を負っていますか?

和田:子どもたちが主体的に学ぶのをサポートする関係性を目指しているので、先生というよりメンターですね。また、お兄さん、お姉さん感覚で接するようにしています。例えば、名札にはニックネームが書いてあり、子どもたちも○○先生ではなく、ニックネームで呼んでいます。

直接答えを教えることはしません。ギリギリまでヒントは言ったとしても、最後の一歩のところは子どもたちに踏み出してもらいます。「分かった」「できた」という体験を大事にするようにしていますね。単純に教える力があればいいメンターになれるというわけではないですね。いかにお子さんのことをしっかり見極めるか、つまりどれくらい理解できていて、どこでつまずいて、何に興味があるのか、一人で黙々と作業するのが好きな子か、誰かとおしゃべりしながら進めた方が集中力が高まる子か、それをどれくらい見極められるか、が大事です。そのためにはいろいろな方法を試さないとダメなんで、メンターとして引き出しをどれくらい持っているか、ということが重要ですね。

——今後、IoTなど新しいテクノロジーも普及していくと思いますが、授業内容が変わる可能性はありますか?

和田:単発のワークショップなどでテーマにすることはあるかもしれません。しかし、授業では、最先端技術に早く触れることより、新しいことを学び取る普遍的な力を身につけることがより重要だと考えています。それがあれば、いくつになってもその時代の最先端技術を身につけることはできますから。

子どもといっしょに資料画面をチェックするメンター。名札にはニックネームが書かれている。 子どもといっしょに資料画面をチェックするメンター。名札にはニックネームが書かれている。
動かなかったときがメンターの出番。子どもといっしょに問題点を考える。答えは与えない。 動かなかったときがメンターの出番。子どもといっしょに問題点を考える。答えは与えない。

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