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2020年プログラミング必修化!「作る」ことで分かるSTEM教育

第5回 子どもに合ったSTEM教育に役立つ教材とは? ポイントは母親へのアピールと小学生でも使える開発環境

現状、STEM教育の普及には3つの課題があるといわれています。メンター、教材、カリキュラムです。連載の第5回は、STEM教育に役立つ教材作りに関してスイッチエデュケーションとレゴの関係者に話を聞きました。そこではどんな取り組みがなされているのでしょうか?

むき出しのマイコンボードとモジュールを使ったものづくりを目指すスイッチエデュケーション

電子部品を使って個人でものづくりをする人たちにとってスイッチサイエンスはおなじみの会社です。部品のほか、オリジナルのモジュールなども開発・販売しています。そこから派生してSTEM教育用の教材などを企画開発する新たな会社が5月に立ち上がりました。それが「スイッチエデュケーション」です。新会社が教育市場に投入するSTEM教材とはどんなものでしょうか? 取締役社長の小室真紀氏にインタビューしました。

コンセプトは「科学」と「ものづくり」

——新会社設立のきっかけと、目指す教育とはどういうものか教えてください。

小室:以前から教育系の事業に関心がありましたが、直接のきっかけは英国の小学生100万人に無償配布されたマイクロビット(micro:bit)の互換機「チビビット(chibi:bit)」を2016年12月にリリースしたことです。一定の反響があったので、スイッチサイエンスとは組織を別にして、本格的に教育系事業に進出しようと考えました。

掲げているコンセプトは2つあります。1つは「すべての子どもが科学を遊べる世界を作る」こと。子どもたちに科学を身近に感じ、それを使って遊ぶことで学んでほしい、と思っています。その一環として、基板やモジュールといった商品を開発していこうと。なるべく安く、子どもでも扱いやすくかつ安全なものを提供したいと考えています。

2つ目は、「子どもたちにものづくりのプロセスを体験してもらえる環境を提供する」ということです。自分で発想し、調べる。試してみて失敗し、もう一度やり直す、試行錯誤の中でできあがったものを人に見せたり、発表したりする。商品を通して、こういったプロセスを簡単に体験できるようにしていきたいと思っています。

「チビビット(chibi:bit)で遊びながら学んでほしい」と語る小室さん。 「チビビット(chibi:bit)で遊びながら学んでほしい」と語る小室さん。

母親の理解を得る

——教育市場といっても多岐にわたると思うのですが、ビジネスとして狙っているマーケットはどこですか?

小室:基本的には公教育で、よりたくさんの子どもに使ってもらえるようなものを作っていきたいと思っています。2020年から小学校でプログラミング教育が必修化されますが、いろいろな教材が各学校で採用されるという状況になると思います。選ばれる教材の中のひとつになれればいいかなと。

同じように重要なマーケットは家庭です。チビビット(chibi:bit)やマイクロビット(micro:bit)のプログラミング時に使う開発環境「Microsoft MakeCode」は、ネットにつながるパソコンさえあれば、環境やブラウザに左右されることなく使えます。一度ネットに接続すれば、途中で接続が切れても開発が続けられるという特長もあります。フラストレーションが少なく、家庭での使用に適しています。

家庭をターゲットと考えた場合、お母さんにこの教材がどう受け止められるかが、鍵となると思っています。基板は普段は機械の中に隠れていて目にすることはありません。それゆえに実際の電気製品に使われるリアルなパーツでもあります。大多数のお母さんはむき出しの基板を見て「危なそう」「部品が取れてすぐ壊れるのでは?」と不安を抱きます。こういった不安を払拭しない限り、家庭に入っていけません。私自身も母親として「子どもには安全で長く使えるものを与えたい」という気持ちを持っています。企業としては、お母さんの理解を得やすい、わかりやすい商品を開発することが必要だと感じています。

むき出しの基板をカバーするチビビット専用ケースの試作品。お母さんの不安を取り去るアイデアのひとつ。 むき出しの基板をカバーするチビビット専用ケースの試作品。お母さんの不安を取り去るアイデアのひとつ。

*チビビット(chibi:bit)——ARMの「mbed」ベースのマイコンボード。英国のBBCが作ったマイコンボードであるマイクロビット(micro:bit)の互換機。5×5のLED、加速度や磁気、温度などの各種センサー、無線通信機能(Bluetooth LE)などが搭載されている。Microsoftが作った専用の開発環境MakeCoad上でプログラムできる。

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