女性エンジニアキャリア特集
培ったスキルを次に活かせる、積み重なっていく感じが好き——TOTO 根岸知子氏
ゼロから発電機にチャレンジ
——大学でも電気がご専門だったのですか。
実は大学の専攻は、電気とは関係のない「生体工学」で、脳の血流などを研究していました。TOTOを選んだのも、生体工学という視点と、運動が好きだったことから、健康に役立つ日常的なものを作りたいと考えたからです。入社から2年ぐらいは、たとえばマッサージノズルで血流が改善されるかを計測したり、得られたデータを分析したりするような、ソフトの分野にいました。
——生体工学から発電機というのは、かなり思い切ったチャレンジですね。
生体工学の知識が生かせる仕事も楽しかったのですが、周りには既にその分野に長けた方が多く、まだTOTOで確立されていない、今後に役立つ分野に関わりたいと考えるようになりました。新しい分野を探していた入社3年目に、水力発電機をOEMから自社開発に切り替えるタイミングがあり、自分の今後のキャリアを考えてぜひやってみたいと思いました。
——「ゼロ」の状態からどのように知識や技術を習得していったのですか。
TOTOにとっても新しい分野で、社内に専門家もいませんでした。私も機電に関してはまったく素人でしたから、大学時代の教科書を読んだり、恥を承知で社外の人に相談したりしながら、手探りで進めていきました。今になると「よくあんなこと聞いたな」と思うこともありますね。
ただ、仕事は進めつつも、土台を確立したいという思いをずっと持っていました。研究が一段落したときに、ちょうど育児休暇に入ったので、少しでもパワーアップして復帰したいと思って、電気系の資格を1年かけて取りました。
——何がそこまでのモチベーションの源泉になっているのでしょう。
ソフトは好きな分野ではありますが、この世界でスキルを積み重ねられるのか、本当に自分の専門にしたいのかとずっと疑問に思いながら仕事をしていました。発電機のプロジェクトに移り、いろいろな技術を知るなかで、今後のTOTOに生かせる分野なのではないかと感じたことが、モチベーションの源泉になっているのだと思います。流体のエネルギーと電気のエネルギーをうまく活用できると、TOTOの商品として、お客様に喜んでいただけるとてもいいものになると思っています。
ラクロスが「全力でやる」姿勢を培った
——そのように自ら切り開いていく姿勢はどのように培われたと思いますか。
高校から大学まで、7年間ラクロスというチームスポーツをやっていたことが、今の私の基本になっていると思います。当時は新しいスポーツでしたから、コーチも自分たちで探しましたし、大学生と一緒に練習をしたり、7年間のロードマップを作ったりしました。仲間との信頼関係には「やる時は全力でやる」という姿勢があって、それが今でも背中を押してくれているような気がします。
——では、今の仕事のやりがいはどんなところでしょう。
培ってきた技術やスキルを、次の研究に生かせる可能性が高い、努力が報われる可能性が高いと感じています。毎日の仕事が積み重なっていく感覚がすごく好きです。
機電の分野は、今一番好きで興味があるので、ここでキャリアを積み重ねていきたいと思っています。