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ナイトペイジャー 横田信一郎インタビュー

好奇心が結ぶ町工場とMakerムーブメントの邂逅

「大田区に町工場は4000弱くらいあるんですけど、同じ町内に旋盤屋さんが10件あるというイメージですよ。そのうちの1件つぶれれればうちに仕事がまわるだろう、というのは高度成長期の話で、今はそういう所同士が横のネットワークでものづくりをやっていかないと、他の地域に負けちゃうんです。実はプロジェクトの中で得た最大の成果っていうのは、そういう横のネットワークだったんじゃないかと思うんです」

下町クラウドファンディング

そして現在、次世代キックスクーター「nbike」のプロジェクトが進んでいる。このプロジェクトでは、資金調達にクラウドファンディングを利用した。

2020年の東京オリンピックを目指し、会場内の短中距離移動用に電気を使わない下町セグウェイを、という目標のもとに開発中の「nbike」。遊星ギアを用いた画期的な変速機構を持ち、折り畳んで立てるとA4サイズほどの面積に収まる。(写真提供:横田さん) 2020年の東京オリンピックを目指し、会場内の短中距離移動用に電気を使わない下町セグウェイを、という目標のもとに開発中の「nbike」。遊星ギアを用いた画期的な変速機構を持ち、折り畳んで立てるとA4サイズほどの面積に収まる。(写真提供:横田さん)

「でも(町の高齢者には)クラウドファンディングが何だか分らない人が多いんです。区の施設で講演をやったんですけど、来てる人が高齢者だとネットを使っていないどころか、情報源が区報とか回覧板だったりするんです。

で、クラウドファンディングの話をすると、その場でじゃあ1万円出すよって言われたりするんです。若者の面白いアイデアにそれくらいだったらっていうのはあるんです。そういう人たちのために、もっと超アナログな出資システムが必要だと思うんですよ。

例えばマイクロファンディング・バスツアーみたいなものを組んでMakeの会場に行って、面白いものがあったら『俺はもう墓入るだけだから出資するよ』って声かける。そんなシステムがあったらいいんじゃないか、と」

熱気溢れるMaker Faire出展ブースで。出展者として参加する横田さん。手前に写っているのは2進数の世界を視覚的に理解できる「2bitそろばん」。8桁(1バイト)分計算できる。(写真提供:横田さん) 熱気溢れるMaker Faire出展ブースで。出展者として参加する横田さん。手前に写っているのは2進数の世界を視覚的に理解できる「2bitそろばん」。8桁(1バイト)分計算できる。(写真提供:横田さん)

「京都だと隠居っていう職業があると聞くんですけど、隠居にはいろんな人が相談にきて、隠居ならではのネットワークをもってて、隠居にしかできない電話を社長クラスの人にいれてくれたりする。でも、大田区で工場を引退した人たちには何もないんですよ。若者に技術継承するようなこともない。だから、京都の隠居みたいなシステムの下町版・現代版みたいなものを作れればと思うんです」

話題のスポーツカー、トヨタ86/スバルBRZの操作パネルをドレスアップするエアコンダイアルとともに。これからも時代の流れとともに、ユニークなプロダクトを生み出し続ける。 話題のスポーツカー、トヨタ86/スバルBRZの操作パネルをドレスアップするエアコンダイアルとともに。これからも時代の流れとともに、ユニークなプロダクトを生み出し続ける。

横田さんの底なしの発想力は、ものづくり自体を超え、それを支えるシステムまでにも及び始めた。そんな横田さんの好奇心は、これまでも、そしてこれからも、たくさんの人と人を結びつけて行く、その求心力となり続けるだろう。

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