企業もはじめるFab&Hack
企業×ベンチャー支援の新しいカタチ オムロンによるインキュベーション「コトチャレンジ」とは
経験豊富な「ものづくりの匠」によるメンタリング
——参加者にとってはオムロンの技術者からメンタリングが受けられるということが大きなメリットだったと思いますが、1回目のメンターはどんな方が担当されたのですか?
「私が在籍する事業インキュベーショングループのメンバーが中心となって担当しました。私も昨年まで材料系のエンジニアでしたし、営業や経理、プロダクトマーケティングなどさまざまな経歴を持つメンバーが経験を生かしてアドバイスを行いました。それにプラスして、専門的な指導に対応するための『ものづくりの匠』としてメカや回路設計など専門的なエンジニアも担当しました」
——今林さんご自身もメンターをされてみて、いかがでしたか?
「実際やってみてわかったのは、実際に動くモノを実装するための幅広い知識が求められ、専門性の高いマニアックな質問は来ないということですね。例えば私の専門で言えば、このプラスチックとあのプラスチックどっちがいいですか、といった素材の選び方などはまず聞かれない。商品開発の上流から下流までをざっと見渡せるような幅広い経験を持ったメンターのほうがチャレンジャーの支援には良いというのもひとつの気づきでした」
盛り上がりはじめた、京都のインキュベーション
——まもなく2回目がスタートしますが、1回目に参加したチームへの支援は今後どうなるのでしょうか?
「コトチャレンジとしてはいったん終了しますが、いま京都ではMakers Boot Campという“量産化を見据えたモノ作り”を支援するプログラムが始まっていて、そこに最優秀賞を取ったチーム、うぇすトンさんが参加しています」
——京都でものづくりのエコシステムができてきているのでしょうか?
「京都の中でも所々で盛り上がりはあって、それが力を合わせればもう少し大きな動きにしていけそうだなというのが見えてきました。ものづくりの感覚やビジネス視点を磨きたいという方がコトチャレンジでファーストプロトを作り、Makers Boot Campといった他のプログラムで、ものづくりのリテラシーを注入して量産化を目指す、というように京都の中で起業家が育まれるシステム作れたら面白いですよね。更には投資を検討するオムロンベンチャーズのようなCVCもある。京都には大学も京都本社のメーカーも多いですし、このようなエコシステム作りのための環境に恵まれていると言えるので、それらが有機的に結びつくと、関西ではベンチャーが根付きにくいという状況も変わっていくのではないかと思います」