新しいものづくりがわかるメディア

RSS


fabcross Meetingレポート

【fabcross Meeting】支援額は3人合計300万円超! だからこそ見えてくるクラウドファンディングの世界

プロジェクト成功からが「第二のスタート」

とにかく、届かない可能性が高いクラウドファンディング。しかし3人は、それでも支援をし続ける。いったい、どういう気持ちなのだろうか。

高須
ファンクラブ活動みたいなものだと思っていて。アーティストのファンクラブに入ると、プライベートライブに行けたり、特典があったりするじゃないですか。クラウドファンディングは、ハードウェアに関する新しいカテゴリだと思っています

松崎
明らかに、舞台裏を見るのが楽しいという人たちがそこに集まっているコミュニティだと思っています。店頭にきれいなパッケージで並んでいる商品にはない魅力だと思うんですよね

クラウドファンディングはプロジェクトが資金調達に成功したところから、第二のスタート。そこから商品が届くまでが、もうひとつの楽しみだ。3人は、どれくらいで届けば合格ラインと思っているのだろうか

桜庭
1年は待ちますね。時間がかかるものだと思っているので

高須
基本、不要不急のものを買っていると思うので、時間はあまり気にしません。どちらかというと、来るか来ないか。つぶれないでくれるとうれしいなと

松崎
支援するときはいつ届くのかというのは確認するんですが、支援した瞬間に忘れちゃうことが多くて。商品が届いて、あ、来たんだみたいな(笑)

ただし、時間がかかりすぎて心穏やかではないこともあるようだ。例えば、「GIROPTIC」という360度カメラは、世界初の360度動画カメラとして注目を集め、プロジェクトは成功。しかし、発送までに当初予定よりも1年半の時間を要した。

松崎
その間に、リコーのTHETAがどんどん性能が上がってしまって(笑)

高須
実際製品が届いてみたら、もはや時代遅れという(笑)

桜庭
高須さんは届いてますけど、僕はまだ届いていませんからね(笑)


そんな状況すらも笑って楽しめるからこそ、クラウドファンディングのプロなのだろう。

クラウドファンディングで支援した製品を紹介

ここからは、実際に持ってきていただいたクラウドファンディングで支援をした製品を紹介していこう。

このヘッドマウントディスプレイ「Glyph」は桜庭さんが支援したもの。実際に使ってみると、ディスプレイがとても小さい。

桜庭
そうなんです。このショックといったら(笑)。これで549ドルです

こちらも桜庭さんの支援をした3Dプリントペン「LIX」。ペンの先から溶けたフィラメントが出てそれで形を作っていく。市販の3Dプリントペンとほぼ一緒だ。

桜庭
まだ1回も起動してないですね(笑)

こちらは、松崎さんが支援した猫の監視モニター「KITTYO」。レーザーポインターを内蔵していて猫を遊ばせることができる。その様子を外部から動画で見ることができるのだ。そして、餌をやることもできるという、なかなか高機能な製品。猫がいる家庭では活躍しそうだ。

松崎
これはニューヨーク在住のプロジェクトオーナー一人が中心になって企画し、自分に足りないスキルを持っている仲間を集めてやっと完成させたという、血と汗と涙の結晶みたいな製品です。でも、僕は猫を飼っていないのでまだ起動したことないんですけど(笑)


そのほか、高須さんが支援した子ども向けスマートウォッチキットなどもあった。高須さんは「まだ開けてないんですけど(笑)。デザインがポップなのもよかったし、起動画面が8bitっぽくてかわいくて」と、やはり現地で見てから支援をした様子を語っていた。

KickstarterとIndiegogoの違いとは

そして話は、KickstarterとIndiegogoの違いに移った。

高須
Kickstarterはハードウェア系のプロジェクトには審査があるんです。CGだけはNG、基本になっているロジックがきちんと記載されていなければNGというような、ルールがあるんです。逆にIndiegogoのほうが、ぶっとんだ変なものがいっぱいあるんですよ

松崎
Kickstarterは審査厳しいですよね。きちんとプロトタイプがどこまでできているか見せなければだめとか

高須
明らかに無理そうなものはKickstarterはNGなんですが、IndiegogoはOK。なのでより大人の遊び感がありますね(笑)

そして高須さんは、「完全な黒歴史」としてクラウドファンディングを始めた当時に支援したプロジェクト「Dragonfly Futurefon」を紹介。単体でタブレットとして使え、ノートパソコンにもなり、ペンモードではタッチペンで書くことも可能。そしてそれが2つ折りになり、携帯電話機能もついているという、とんでもない製品だ。

高須さんは、この製品に支援した。7000万円以上の支援を集め、一応開発は進めているようだが、もうすぐ2年が経過する現在でもCGしか見ることはできない。

高須
この会社は、さすがに会ったら文句言おうと思ってるんですけど(笑)


KickstarterとIndiegogo。同じクラウドファウディングプラットフォームでも、それぞれの違いがある。それを理解した上で支援をすることが重要といえるだろう。

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る