fabcross Meetingレポート
【fabcross Meeting】支援額は3人合計300万円超! だからこそ見えてくるクラウドファンディングの世界
2016年9月10日、fabcross主催のイベント「fabcross meeting 03」が東京・渋谷の「精神とテクの部屋」で開催された。テーマは「プロが語るクラウドファンディングの世界」。これまで数々のクラウドファンディングのプロジェクトを支援してきた、支援の「プロ」3人によるディスカッション。いったいどんな話が飛び出したのだろうか。その様子をレポートする。
クラウドファンディングのプロ3人が登壇
今回、このイベントに登壇したゲストは、以下の3人。
高須正和さん(チームラボ)
無駄に元気な、チームラボMake部の発起人。チームラボ/ニコニコ学会β/ニコニコ技術部などで活動中。アジアのMaker Faireに世界で一番多く参加。 日本のDIYカルチャーを海外に伝える「ニコ技輸出プロジェクト」も行っている。fabcrossで「アジアのMakers by 高須正和」を連載中。
桜庭康人さん(SenSprout/fabcrossライター)
農業向けセンサの開発を手掛けるSenSproutのマネージャー。新製品や新技術が大好きで、海外のIoTを中心に情報をキャッチアップ。海外のガジェットを集めては壊し、また組み立てるのが趣味。
松崎良太さん(Kibidango代表取締役)
日本興業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)を経て2000年楽天に入社し、楽天グループの国内外のM&A案件を多数手掛ける。2011年に独立しサードギアを設立。次世代を創るベンチャー企業の育成や、多くのエンジェル投資を行う。2013年2月22日にゴールフラッグを設立(後に社名を「きびだんご」に変更)、クラウドファンディングとECを組み合わせた新しい事業エンパワーメントの仕組み「プロジェクトコマース」を提供する「Kibidango(きびだんご)」を設立。
3人で、クラウドファンディングの支援総額は300万円を超える。まさにクラウドファンディングの猛者たち。いったいどんな話が聞けるのだろうか。
面白そうなメイカーたちと仲良くなるために支援する
高須さんはシンガポール在住。Maker Faire Shenzhen(深セン)とMaker Faire Singaporeの運営を行っている。2014年、2015年の2年間で2600ドル、日本円にして30万円くらい支援を行ってきたという。
そのうち、手元に商品が届いているのは378ドル分。遅延したが商品が届いたのは700ドル分。まだいつ届くのか分からないものは1188ドル分。Kickstarterは全体の8割ほどが当初の予定時期に出荷できていないというデータがある。高須さんはそれを分かっていながら支援を続けている。
高須さんにとってクラウドファンディングは「面白そうなメイカーたちと仲良くなるため」のもの。Maker Faireで知り合ったメイカーのプロダクトに支援をし、会社に遊びに行き、会社が小さなころから仲良くなっておくと、小さな会社が大きくなってからもずっと仲良くできる。
基本的には、Maker Faireで面白そうなものを見つけたら、Kickstarterで支援する。ものを買うのではなく、仲良くなりたい人のものを買おうという意識で支援しているということだ。
人より早くプロダクトを手に入れたい
桜庭さんは、「ちょっと早めにプロダクトを手に入れたい」という欲求から2013年にKickstarterで支援を始めた。これまで40件くらい、38万円ほど支援している。Kickstarterだけではなく、Indiegogoや国内のKibidangoでも支援を行っている。
一番の醍醐味は、クオリティの高い製品から、まだ作っている途中ではないかと思うようなものまで、さまざまなものが届くこと。支援したもののうち、半分くらいは手元に届いているという。
情報収集は、Kickstarterのフォローシステムを利用する。フォローしている人が支援をすると、お知らせが届くので、それを参考にプロジェクトを見にいっているそうだ。
新しいもの好きが高じてクラウドファンディングの世界に
松崎さんは、子どものころから新しいものが好きだったそう。それが高じて、楽天入社後に新しい事業を見つけて投資や買収を行う仕事をしていた。楽天を退社後にKickstarterの存在を知り、たちまちファンに。そして、好きが高じて2013年に日本でクラウドファンディングプラットフォーム「Kibidango」を設立した。
Kickstarterを知ってから支援を開始。支援したプロジェクトは183件。総額は「すごすぎて秘密にさせていただきたい」とのこと。高須さん、桜庭さんの支援額からだいたいの想像は付くだろう。最近は、家族にも内緒にしているということだ。
現在は仕事ということもあり、CESやSXSWなどに行って支援しているKickstarterプロジェクトのメンバーに声をかけたり、Kickstarter本社を訪ねて創業者と会ったり、Kickstarterのメンバーが日本に来たときには一緒に食事をするなど、ただのKickstarterファンの範囲を超えて密接な関係性を築いているという。