イベントレポート
Makerスペースは地方を変えられるか?——鍵は地方の特色を生かした目的設定
地方の技術や素材を生かすイベント
越智:具体的に地方とどんな連携を図っているのか、お聞きしたいと思います。
松田:ワークショップはメインのビジネスモデルなんですが、地方の素材を使うことはよくあります。
倉敷帆布とか、栃木レザーとか、アコヤ貝真珠とか。その土地の良いものを持ってくることでビジネスにします。素材は地元から購入するので、地元にもプラスです。
別の手法にコンテストがあります。日本酒を包む風呂敷のデザインコンテスト、海外に出す地酒のボトルデザインコンテストなどをやったことがあります。
いずれにせよ、その土地の良いものを取り込めるか、というのがポイントですね。
有坂:具体的には2つあります。ひとつは新潟県燕市でやったイベント。燕市は金属加工で有名で、その技術を生かしてビアタンブラーやカトラリー(食器)を会員さんに作ってもらいました。
地方の技術を東京のクリエイターや会社と出会わせることで、「この技術、あれに使えるのでは?」といったことにゆくゆくつながれば、と思っています。
もうひとつは高知県の土佐和紙を使って衣装を作るワークショップ。1人を除き、参加者に高知県出身者がいなかったのがポイントですね。
技術や素材を通して東京で高知県ファンを増やす、という発想もありだなと、そのとき思いました。いずれにしろ、地方の技術や素材を東京の人や企業に紹介してマッチングを図るのが自分たちの役割かなと思っています。
橋場:今、「オープンチャレンジ」という制度を作ろうとしています。
簡単にいうと、スタートアップを目指す人に質の高いプロトタイプを作ってもらおうという制度です。ハードウェアの量産にはお金がかかりますから、資金調達のためには質の高いプロトタイプが欠かせません。そこを、DMM.make AKIBAと協賛いただける企業で支援したいと考えています。
昨年(2016年)、第1回の募集をかけたのですが、予想より応募が多くて審査が難航している状態です。この制度が本格的に稼働すれば、アイデアを形にして起業したいという地方の方のお手伝いもできるようになると考えています。試作までをお手伝いして、あとは地方で展開してもらおうという発想ですね。