3Dでハードコアな超高速ものづくり《最新事例》
ヤマハ×革!? 3D技術で企業のレジェンダリーデザインを引き継ぐ
ローリング・ストーンズやエリック・クラプトンなど数多くのアーティストに信頼を置かれ、キーボーディストとして活躍してきたチャック・リーヴェル。長年、彼が数々のツアーを共にするのが日本メーカーの楽器であることをご存知だろうか。
その楽器とは、ヤマハ (静岡県浜松市)が持つ音響技術を結集して開発したステージピアノ「CP」シリーズだ。最新機種である「CP4 STAGE」において、実は3Dデジタル技術が使用されている。今回はそのデザイン開発ストーリーに焦点を当てる。
「CP4 STAGE」(2013年10月発売)は、シンプルかつ最高のステージピアノを目指して、ヤマハの技術を結集して開発された楽器である。それは言葉上だけではない。
木製象牙調の鍵盤でありながら持ち運びできる17.5kgという軽量を実現。ヤマハが誇るグランドピアノの音色のラインアップ「CF IIIS」、「S6」に加え、最高峰フルコンサートグランドピアノのフラッグシップ「CFX」の音色を搭載した、贅沢なつくりである。
「CP4 STAGE」の開発がスタートしたのは発売の約1年半前。
デザインコンセプトを担当したのは、当時来日したばかりのスペイン出身のデザイナー、ホセ・ゴンザレス氏だった。
「我々の場合、“CPシリーズ”と聞くと、製品情報やこれまでの背景など固定概念がある。彼にはそれがないので、非常にニュートラルにデザインをしてくれました」と語るのはヤマハ株式会社の楽器・音響営業本部の大野拓氏。
はやりすたりに流されない永く愛されるステージピアノを作りたいと考えたゴンザレス氏はまず、これまでの製品のどこにヤマハデザインのDNAがあるかを調べた。最新商品として流行のデザインを追うよりも、ヤマハの歴史を探求した製品デザインをするためだ。