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3Dでハードコアな超高速ものづくり《最新事例》

技術が産む美しさ——ソマルタ廣川玉枝が紡ぐテクノロジーと伝統の系譜

無縫製編機によるニット「スキンシリーズ」。ファッションブランドSOMARTA(ソマルタ)の象徴的なプロダクトだ。レディガガがミュージックビデオ「G.U.Y」で着用し、プライベートで愛用していることでも知られている。

昨年2014年10月、西武渋谷店にてSOMARTAのクリエイティブディレクター・デザイナーである廣川玉枝氏による国内外初の単独展覧会が行われた。これまで製造業での開発事例をご紹介してきたが、今回は3Dデジタル技術・ハードコアなものづくり、第一線のファッションにまつわる事例をご紹介する。

SOMARTAのクリエイションとは

SOMARTA(ソマルタ)は、2006年に廣川玉枝氏がスタートさせたデザインプロジェクト(ブランド)である。廣川氏はイッセイ ミヤケを経て独立し、SOMA DESIGN(ソマ デザイン)の設立とともに同ブランドを立ち上げる。

「身体における衣服の可能性」をコンセプトにしたボディウェアシリーズ“Skin(スキン)”を中心に、手仕事が詰まったアートピースやデジタルプリントのドレスなどブランドのクリエイションは幅広い。そのSOMARTAのアートピースを中心に廣川氏がライフワークとして身体の可能性を追求するクリエイションにフィーチャーした、「廣川玉枝展 身体の系譜 〜Creation of SOMARTA〜」が2014年10月、西武渋谷店7階にて廣川氏初の単独展覧会として開催された。

「頭」ゾーン。甲冑や日本の防具「面頬」からインスピレーションを受けたマスクなど。 「頭」ゾーン。甲冑や日本の防具「面頬」からインスピレーションを受けたマスクなど。

「身体の系譜」と題され構成された展示では、頭部からはじまり、胴体・内蔵・骨・腰・皮膚へと続いてゆく。作品総数はおよそ70にも及び、テーマである身体と装飾、廣川氏のこれまでのクリエイションと新作、またテクノロジーの集合体として伝統とデジタル技術を混在させて構成された。会場に響く心臓音のような音を感じながらウッドチップが敷かれた経路を進む空間は、さながら体内を散歩するようだ。

ケイズデザインラボは「頭」ゾーンのマスクを製作し、技術のひとつとして3Dプリンティングというピースを担当した。

「Asura」Mask/2014/Nylon (3Dモデリング:ケイズデザインラボ、3Dプリント:八十島プロシード) 「Asura」Mask/2014/Nylon (3Dモデリング:ケイズデザインラボ、3Dプリント:八十島プロシード)
——ここに存在するものは、様々なテクノロジーの集合体で創造されています。

最先端の機械や道具、あるいは太古から存在する人々の手の技術を駆使したもの。古いもの、新しいもの、総て、人がつくりだした人造物です。近年、機械や道具の先進化が進み、様々な技術によってものを表現する事が可能となりました。
本展覧会では、デジタル技術と人間の手仕事によってうみだされた創造の産物を混在させる事によって、ものづくりの在り方を考える展示構成となっております。

「廣川玉枝 身体の系譜」展 -BODY GENEALOGY- より

 

触感モデリングデバイス「FreeForm」で未来を垣間見る

マスクは、廣川氏のイメージスケッチをもとにケイズデザインラボ所属のデジタルスカルプター(彫刻家)山口典子氏が制作を担当した。
使用しているツールは、有機的な3Dモデリングを可能にする「Geomagic FreeForm」

Geomagic FreeFormと制作の様子(山口典子氏)。 Geomagic FreeFormと制作の様子(山口典子氏)。

ご存知の方もいるかもしれない。Geomagic FreeFormは、画面上のモデルに触れると、ペン型のマウスを通してそのモデルに当たる触感が伝わる“触感モデリングツール”である。もともとは医療現場でのトレーニング用途などで利用されてきた。

Photoshopが扱う画像など2Dデータでは、最小単位として「ピクセル」という概念が存在するが、3Dデータを扱うFreeFormでは異なり、「ボクセル」になる。これが、有機的なモデリングが可能な理由である。

つまりは、粒ひとつひとつに指示を与えることができるため、「削る」「盛り上げる」「滑らかにする」など、画面の中の仮想空間で物理的な造形を施すことができる。 

(左)2Dピクセル (右)3Dボクセル  FreeForm画面での3Dボクセルイメージ。 (左)2Dピクセル (右)3Dボクセル  FreeForm画面での3Dボクセルイメージ。
「Asura」モデリング画面。 「Asura」モデリング画面。

特に顔面の造作は作品のイメージに大きく関わるが、これまでの業務で数十体の人体のモデリング経験を重ねている山口氏は、イメージスケッチから、廣川氏のイメージに沿うよう表情や特徴を調整しながら制作したという。
数値制御など、CADでの設計に向いている部分はCADソフトでの制作を組み合わせることで、それぞれの長所を生かしたモデリングを行なった。

こうして、仮想空間で“彫刻”された作品が現実空間にプリンティングされ、「Asura」は産まれた。

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