2020年プログラミング必修化!「作る」ことで分かるSTEM教育
第2回 フィジカルコンピューティング~実践的STEM教育のススメ~
覚えたあとが大事
——先生は大学生などを相手にすでにSTEM教育を実践しているわけですが、何か気がつくことはありますか?
小林:プログラミングやフィジカルコンピューティングは実際やりながら覚えていくしかないんですが、器用な人は言われたとおりのことはすぐできちゃうんですよ。それだけだとそこで終わってしまう。私の授業では、ひと通りやったあとで、今までに学んだことを使って、何か作ってみましょう、というのを必ず入れるようにしています。するとそれまで分かっていたと思っていたことが実は全然理解できていなかった、ということがよく起こります。そういうときに質問してもらい、それに答えます。その繰り返しで急激に理解が進みます。このへんは小学生でもいっしょなのではないでしょうか? 自発的であることが大事だと思います。
——プログラミングやフィジカルコンピューティングの体験のあるなしが、個人に影響を及ぼすような可能性はありますか?
小林:生まれた時からインターネットがある世代は、それがどうやってできてきたものなのか知らないわけです。人が作ったものですから、そのテクノロジーがまったく分からないのでは、健全な使い方や接し方ができなくなる可能性があると思います。テクノロジーを理解するためにも、これからの人にとってSTEM教育は避けては通れないでしょう。プログラミング教育の必修化はその第一歩になると思います。義務教育の良いところはすべての人に均等に機会が与えられることです。ぜひ生かしてもらいたいと思います。
——MakerムーブメントとSTEM教育は結びつくところはありそうですか?
小林:学校で習ったテクノロジーをMaker Faireなどで体験できたりする可能性はありそうですね。あるいは、学校の近くや親たちの中にMakerがいて、課外活動の一環としてプログラミングを教える、なんてケースも出てくると思います。また、子どもがプログラミング教育を受けることで、そういったことを知らない大人への波及効果もあるでしょうね。子どもが知ってることを親が知らないのは恥ずかしいでしょうから。プログラミング教育の必修化が、みんなが新しい技術に関心を持つ契機になるといいですね。