2020年プログラミング必修化!「作る」ことで分かるSTEM教育
第5回 子どもに合ったSTEM教育に役立つ教材とは? ポイントは母親へのアピールと小学生でも使える開発環境
世界一のトイカンパニー、レゴのSTEMトイ戦略
レゴは1998年にリリースしたレゴ マインドストーム(LEGO MINDSTORM)で、20年近くコンピューターによるものづくり教育に取り組んできました。2017年初頭、レゴ マインドストームの下にあたるプログラミングできるブロックシリーズを発表しました。それが「レゴ ブースト(LEGO BOOST)」です。開発を担当したチーフデザイナー、サイモン・ケント氏に話を聞きました。(インタビューアー:Francesco Fondi)
——開発はいつごろ始まったのでしょうか?
サイモン:2015年に始まりました。レゴ マインドストームは10歳以上を対象とした商品ですが、レゴ ブーストは7歳から始められるようにデザインしました。「7歳の子が遊んでいるクラシックなレゴブロックが使え、自分の作品に新たな機能が加えられるように簡単にコーディングできる」ことを目標にしました。そのため、開発環境となるコーディング用のアプリは、レゴ マインドストームよりシンプルなものが必要でした。
我々はScratchを開発したMITのチームと、レゴ マインドストームの開発以来の長い付き合いがあります。そこでScratchの「アイコンだけでコードが表現できる」というアイデアを採用しました。子どもが学ばなければならないテキストコードはありません。ただ、アイコンも種類が多く、自分が望む動作をさせようと思えば、7歳の子にとっては大いなる挑戦になります。それでも、多くのモニタリングを通して、それが乗り越えられる壁であることも分かりました。多くの子どもたちは試行錯誤しながら、コードを理解し、アイコンの使い方を学んでいったのです。
タブレットの画面上では、アイコンは命令の流れに沿って左から右に配置されていきます。スクリーン上で電気が流れ、命令が実行されていく様子が見られるので、自分の作品が期待に反した動きをすれば、どこで間違え、どこにもどって直さなければならないかが簡単に分かるようになっています。