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アジアのMakers by 高須正和

日本から出展しやすい海外のMaker Faire ——国ごとに違うMaker Faireのキャラクター

中国らしい大規模さが期待できる Maker Faire Xian(中国・西安)

Maker Faire Xianのサイン。秦始皇帝陵の兵馬俑で知られる西安だけに、Maker FaireのシンボルMakeyが兵馬俑型になっている。 Maker Faire Xianのサイン。秦始皇帝陵の兵馬俑で知られる西安だけに、Maker FaireのシンボルMakeyが兵馬俑型になっている。

2017年、初めて中国の西安でMaker Faireが開かれる。Miniではなくて大サイズのフェアをいきなり開く西安は中国の中でも大学の多い文教都市として知られ、日本の京都と姉妹都市になっている。旧名の長安は奈良や京都(というより平城京や平安京)のモデルとなった。会場は中国陝西省西安市 曲江国際会展中心というコンベンションセンター。

Maker Faire Xianでは、巨大なステージで明和電機などがパフォーマンスを行う。写真右下の赤いMakeyの高さが5mなので、ステージの巨大さがわかる Maker Faire Xianでは、巨大なステージで明和電機などがパフォーマンスを行う。写真右下の赤いMakeyの高さが5mなので、ステージの巨大さがわかる

今回は西安市が大きな投資をしていて、世界からさまざまなMakerを招いている。VRエヴァンジェリストのGOROman氏が登壇するほか、ブースとしてデイリーポータルZ、ロボットバンド「こさんくん」、ロボットプロレス「流血仮面」、ヒゲキタ氏の3Dプラネタリウムなど、Maker Faire TokyoでもおなじみのMakerたちが招待されているほか、Nerdy DerbyMakeFashionなど欧米のMakerたちも見ることができる。

ステージで行われる予定のMakeFashion。カナダのカルガリーから参加。(写真はMaker Faire 成都 2016) ステージで行われる予定のMakeFashion。カナダのカルガリーから参加。(写真はMaker Faire 成都 2016)
Maker Faire成都 2016での「ロボットプロレス流血仮面」 Maker Faire成都 2016での「ロボットプロレス流血仮面」

一般募集は締め切られてしまっているが、西安では日本Maker達の出展を歓迎するため、個別に申し込まなくても合同出展できる日本人Maker出展ブースを設けている。こちらのページに出展案内があり、Googleスプレッドシートの申し込みを書けば、当日いきなり会場に作品を持ち込むだけで出展できる。他の日本人と並んでの共同出展なので、作品を持ち込みつつ交代で会場を見学することもしやすいだろう。共同申し込みのサポートサイトでは最小限の時間と予算で往復するための航空券の案内など、さまざまな情報が掲載されている。

日時:2017/07/15~16
会場:中国陝西省西安市 曲江国際会展中心
公式サイト:情報少なく、Facebookグループを確認するのがお勧め
日本人向け共同出展案内:http://j.nicotech.jp/ntxian2017

中国のロボット作者による鉄製のMakeyも制作中。口から火を噴くという。 中国のロボット作者による鉄製のMakeyも制作中。口から火を噴くという。

STEM教育とMakeの融合が見られる Maker Faire Singapore (シンガポール)

Maker Faire Xianの翌週、東南アジアの都市国家シンガポールでMaker Faireが開かれる。教育省の配下にあるサイエンスセンターシンガポールが主催で、Fabcrossではシンガポールの国家戦略に組み込まれる Maker Faire Singapore 2016などで紹介した。

昨年のMaker Faire Singaporeでは、シンガポールの外務大臣兼スマート国家担当ヴィヴィアン氏ほか、複数の大臣がほぼ全ブースをまわった。 昨年のMaker Faire Singaporeでは、シンガポールの外務大臣兼スマート国家担当ヴィヴィアン氏ほか、複数の大臣がほぼ全ブースをまわった。

STEMのレポートが評判になったとおり、シンガポールは教育熱心な国として知られ、Maker Faireも親子での出展や教育関係のブース、プレゼンテーションが非常に多い。また、10日間2万円で電波認証(いわゆる技適)が取れたのレポートで紹介したIMDAや、失敗を恐れるシンガポール人気質を変えるSTEM教育のサイエンスセンターほか各種学校など、パブリックセクターからの展示が多いのも特徴で、Makeと教育をテーマにしている人はチェックする価値のあるフェアだろう。アメリカ・ベイエリアのMaker FaireにはMake:Educationという教育関連パビリオンがあるが、そのパビリオンがそのまま大きくなった感じだ。

シンガポールのMaker Faireは2012年のMini Maker Faireに始まり、2013年からMaker Faireとなって2017年で6回目を迎える。僕は2014年から実行委員を務めている。会場は毎年変更されていて、今年は第1回を開いたサイエンスセンターに戻ってきた。第1回は小さいホールで行っていたが、今回はサイエンスセンター全体を使い、400以上のブースが出展する巨大イベントとして開催することになる。

多民族国家で、東南アジア諸国からも多くのMakerが集まるシンガポール 多民族国家で、東南アジア諸国からも多くのMakerが集まるシンガポール

こちらも一般募集は締め切っているが、僕がまとめ役をしている日本人合同出展ブースは現在も受付中で、事前にスプレッドシートを書いてもらえば当日いきなりでも出展できる。英語が通じ、移民国家なので公共交通ほかさまざまなルールが「はじめて来る人」にやさしくできている旅行しやすい国なので、はじめての海外Maker Faireとしてお勧めでもある。

日時:2017/07/22~23
会場:Science Centre Singapore
公式サイト:http://makerfairesingapore.com/
日本人向け共同出展案内:http://j.nicotech.jp/nt_Singapore_2017

もっとも日本に近いカルチャーのMaker Faire Taipei(台湾・台北)

台湾のMaker Faireは、日本と同じく出版社が運営しているせいか、ホビーベースの出展が多く、Maker Faire Tokyoと似たキャラクターがある。日本からは3~4時間で到着でき、LCCも多く飛んでいるため、宿泊費や移動時間を考えると関西や九州からMaker Faire Tokyoに行くよりも身近な部分があり、ここ数年日本からの参加者が倍々ゲームで増え続けている。

2016年の共同出展の様子。ここに映っていない人たち含め、20人以上が日本から出展した。 2016年の共同出展の様子。ここに映っていない人たち含め、20人以上が日本から出展した。

海外のMaker Faireはどこも日本のものよりビジネス・スタートアップ色が強く、「これはいくらなの?」「どういうビジネス展開を?」などと聞かれることが多いが、台北ではヘボコンや「役に立たないガジェット選手権」など、楽しむための工作も多く出展されている。
日本からの展示はニコニコ技術部からの、笑わせるためのネタ工作が多いものだったが、台北のMaker Faireを訪れる人たちは大いに楽しんでいた。

教室からいつでも逃げ出せるように、電動化した勉強机。台北のフェアでは東京の次にこういうネタ工作を見かける。 教室からいつでも逃げ出せるように、電動化した勉強机。台北のフェアでは東京の次にこういうネタ工作を見かける。

台北のMaker Faireは現在も申し込みを受け付けているが、出展費とデポジット(預かり金)が必要で、委員会とやりとりをしなくてはならない。例年どおり日本人グループの共同申し込みを僕が手配しているので、そこ経由でスペースを確保することもできる(出展費は割り勘)。

日時:2017/11/03~05
会場:華山1914創意文化園區
公式サイト:http://www.makerfaire.com.tw/
日本人向け共同出展案内:http://j.nicotech.jp/nt_taipei_2017

昨年、日本から共同出展したブース。 昨年、日本から共同出展したブース。

アジア全体に広がっているMaker Faire

ほかにも8月12~13日にMaker Faire Beijing(中国・北京)、9月2~3日でMini Maker Faire Penang(マレーシア・ペナン)など、アジア全体では1カ月に数度Maker Faireが開かれている。米Maker Mediaのサイトを見ると、世界全体では毎週末2~3回はMaker Faireが開かれている。

海外のMaker Faireに出展した人たちは口々に、違うカルチャーに触れた驚きとMaker同士であれば充分に会話が通じることを語る。それは日本のMakerコミュニティをもっと面白くする。ぜひ海外のMaker Faireに出展してみよう。

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