3Dでハードコアな超高速ものづくり《最新事例》
3Dプリンタが可能にしたSUBARUの400万回再生PVの舞台裏
「400万回再生されたSUBARU「WRX STI」R/C動画、超高速ものづくりの裏側にあるプロの仕事とは」
ラリーや耐久レースにおける活躍で世界的にファンの多い富士重工業(SUBARU) 「WRX」シリーズ。最新の「WRX STI」のプロモーション映像が、3月にスイスで開催されたジュネーブモーターショー2014で初公開された。3万本のスティックボム(薄い棒状のドミノ)とのレースバトルでは、華麗なドリフトやジャンプ、壁を突き破るシーンなど見どころが満載だ。
YouTubeでの公開後、再生回数は400万回を超え、国内外で話題を呼ぶ結果となった。第1回目となる今回、ケイズデザインラボらしい、ハードコアな事例をご紹介する。
この映像で主役となったWRX STI、一瞬本物と見まがう精巧さだが、実はラジコンカーが使用されている。動画のコメント等では「どこで買えるのか!?」という声も聞かれたこのラジコンカー、実はこのプロモーション映像のためだけに制作されたものだ。
しかも、車体やホイール、ミラーなど細部に至るまで3Dプリンタでワンオフ(一度限りのものとして)造形された、フル3Dモデリング仕様という贅沢な作りになっている。
弊社ケイズデザインラボでデータ作成から造形のハンドリングまでを担当したこのWRX STIラジコンカー。実質2週間強の製作期間というスケジュールの中で、どのようにしてそれを成し遂げたのか。
車体の作成に3Dプリンタを採用した理由は、製作期間の短さにあった。
当初は正攻法であるバキューム造形で作成する案が進められていたのだが、日程的に厳しいという判断により、3Dプリンタでの造形を決断した。
そのフル3Dモデリングのスタートとして、富士重工業様の尽力により、何と実車のCADデータを提供いただいたことにミソがある。実はこれは異例のことで、車体のデータが社外に提供されることは滅多にないそうだ。WRX STIのラジコンカーデータはどこにも存在しておらず、まさにゼロから作り出さねばならない中で、非常にありがたいことだった。
しかし、CADデータがそのまま造形まで使用できるかと言えばそうではない。
その上、ラジコンカーを作成するからにはパーツやホイール、細部まですべて再現しなければ、それはWRX STIではない。その企業としてのこだわりをクオリティとして反映しながらも、納期に間に合わせなければ撮影セットやスタッフは無駄になってしまう。