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3Dでハードコアな超高速ものづくり《最新事例》

3Dプリンタが可能にしたSUBARUの400万回再生PVの舞台裏

納品まであと数日というある日、磨きをお願いしている業者さんから連絡が入った。明日渡すか、明後日か、どちらがよいかという判断を仰ぐ連絡だった。1日の磨きによって表面の塗装の載り具合は格段に変わるという。
この先にいくつか工程を控えた中での決断だった。「もう1日、磨いてください」。
また、塗装の段階でも一段階クオリティを高める手間がある。表面塗装はスバルブルーと呼ばれる鮮やかな青色が見事に再現されているが、表面だけでなく内側も塗装していただいているということだ。不透明さが増すことにより、車体のリアルさが映像越しにも説得力を増す結果となっている。

WRX STIの壁を突き破る演出を考慮して車体にはナイロン樹脂を採用。ウイングやミラーは精細な造形が得意なProJetシリーズによるアクリル樹脂、ホイールはABS樹脂で造形されている。3機種の3Dプリンタと4社のパートナー様により高速ものづくりが実現した。 WRX STIの壁を突き破る演出を考慮して車体にはナイロン樹脂を採用。ウイングやミラーは精細な造形が得意なProJetシリーズによるアクリル樹脂、ホイールはABS樹脂で造形されている。3機種の3Dプリンタと4社のパートナー様により高速ものづくりが実現した。

デカールと呼ばれる表面シールも、実車で使用されたデータを提供いただいて作成した。これにより、ニュルブルクリンク24時間耐久レースモデルの華やかな車体が再現された。それぞれの工程を弊社のパートナー様にお願いすることによって、難しいスケジュールの中でのクオリティと調整ができた。

かくして、撮影前日に1台目が納品された。続いて2日目に2台、合計3台の造形を行った。ギリギリのスケジュールの中で各企業がベストを尽くした結果だった。
内側にアルミテープが貼られ補強された本体からは撮影のハードさが伺えるが、その活躍により非常に臨場感のあるプロモーション映像が完成した。映像の企画や撮影にはもちろん大勢の方々が関わられているが、車体1台にも多くの方にご協力いただき、完成させることができた。
冒頭に戻るが、今回の場合3Dプリンタ造形というのは結果であり、スタート時のウリではない。造形方法として、スケジュールの短縮とクオリティの追求において選択肢のひとつとして採用した。今ある技術と肩を並べ、日常としてそれぞれの得意・不得意を補完した使用がされていく、そのような事例はこれから増えていくのかもしれない。裏側を知るとき、そう予感させられるものづくりの事例と言えるだろう。

メイキング動画はこちら。

【制作・企画】(株)ガンズロック
【ラジコン作成監修及びフィニッシュ】(有)GrooveWorks 
【3D造形】八十島プロシード(株)
【磨き及び塗装】(株)大成モナック
【3Dプリント及びデカール作成】東京リスマチック
(※敬称略、順不同)
【データ製作及び全体統括】(株)ケイズデザインラボ

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