3Dでハードコアな超高速ものづくり《最新事例》
【スター・ウォーズ】デス・スター2の完全再現モデルで見えた3Dプリントサービスの今後
「世の中に流通している他サービスに比べると、まだ常識から外れている部分が少なくないです。まず一番の問題は納期が分からないこと。プロダクトの開発コスト内で使えるサービスビューローでは納期が分からないケースがあって、正直なところビジネスとして使う場合には障壁になりました。
今回のプリンタであれば、造形の際に照射する2つのレーザーがぶつかるところに線が出てしまうので、プリントエリアの真ん中あたりで出力すると、線が出てしまう可能性があります。今回利用したビューローは、他の注文と合わせて1回の出力でまとめ、システム側で最適化された位置で出力することでコストを抑えています。そのため、位置を変えるとコストが変わるので、位置を変えてほしいという指示は、難しいですね。リクエストが可能なサービスビューローだと調整が利きますが、コストは一気に上がってしまいます。当然なのですが、こういった課題をどうやってサービスビューローや3Dプリンタメーカーがクリアしていくかが普及のカギではないでしょうか。
また、事情が分かっていると、『今の3Dプリンタだとこれが限界ですよね』みたいに甘えられることもあります。ただ、一般の消費者にはそれは通用しないし、むしろ3Dプリンタはそういうものという思い込みを生んでしまうことになりかねません」
——そういった条件下のプリントとなると検品も細かくやらないと大変ですよね。
「もちろんです。『一品一品風合いが異なる場合がある』といった注意書きはありますが、検品はしっかりやりますし、基準に合わないようであれば交渉してやり直してもらう場合もあるので、作っただけ黒字になっている訳でもないんです」
——原価が決まっていないというのは、販売者にとってはかなりリスクが高いですよね。
「そうですね。3Dプリンタにしかできない、3Dプリンタだからこそできるソリューションは現時点で十分に実現できていますが、提供するためのコストや品質の安定性は未だ発展途上です。3Dプリンタを一般に普及させるためには、一般のサービスに近づける努力は求められます。ハードウェアのスタートアップが最終製品に3Dプリンタを使うにも、まだそういった障壁があります。これは海外でも同じでShapeways(※アメリカに拠点を置く3Dプリントサービス)でも、どこで造形していて、いつ来るかもわからないし梱包状態も分からない。そういったリスクがまだ付きまといます」
(C)&TM Lucasfilm Ltd.