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2020年にプログラミング必修化!「作る」ことで分かるSTEM教育

第1回 STEM教育とは何か?~それはコンピュータの歴史と共に始まった~

先生のとまどい

——現場で教える先生もご苦労されそうですね。

阿部:私がScratchで授業をやるときは、子どもたちにある程度使い方を教えたらあとは、ばんと突き放します。「自由にやって」と。そうすると、創造力を膨らませてどんどん面白いものを作り始めます。授業が終わったとき画面に表示されているものはひとりひとり全部ちがいます。ひとつの決まった答えなんてないんです。単に遊んでいるように見えますが、やりたいことを達成するために、その過程でいろいろなことを試しては検証している。子どもを主体的な学習者として考えれば、当然のことですね。

今までなら、「教科書があって、指導案を作成して、一斉に授業を進行する」という筋書きがあり、ゴールがありました。ところがプログラミングにはひとつの決まった答えがない。したがってゴールが見えない。これは先生方にとってすごく怖いことだと思います。だから、新しい学習指導要領の根幹にある理想的なところが、「現場で行いやすいように」形式化されて降りてきたときにどう変わってしまうのか、という危惧があります。導入にあたっての最大の鍵は、先生の意識・考え方です。教員主体から学習者主体に切り替えて授業に臨めるかどうか。逆にいうと、そこさえうまくいけば、プログラミングに限らず、他もうまくいくと思います。

先生の役割も変わります。ひとりひとりの生徒をよく知って、カスタマイズされた適切なアドバイス、発展的な投げかけを行う助力者(ファシリテーター)になることが、今まで以上に重要になります。

Scratchが目指してきたもの

——すでに中学校では技術家庭の授業でプログラミングが取り入れられています。どんな状況なのでしょうか?

阿部:よく授業で行われるのが、説明書通りにライントレースロボットを組み立てて、決められた書式でフローチャートを書いて、プログラミングして、走ったね、といって終わるパターンです。これは子どもたちの日常的な関心とつながっておらず、ゴールが他者から与えられているという点で、主体的な学習からは遠く感じます。小学校で、プログラミングの楽しさと意味を知った子どもたちが、中学校、高校、大学、社会人になっても続けられるような連続性があるべきと考えます。

Scratchを開発したミッチェル・レズニック氏も「Scratchは、決してプログラミングの技術を身につけるためのものではない。創造的な学習者を育てるためのものだ」といっています。つまりScratchでプログラミングを経験すると「自分はこれを作りたい。作るためには、これをやらなくちゃいけない」と自ら気づいて取り組みます。つまり「学ぶことを学ぶ」わけです。一度これを経験した子どもはプログラミングだけじゃなくて、他の教科の学習についても同じように取り組むようになります。そこが最も重要です。

「プログラミングを通して『学び方を学ぶ』ことが最重要」と阿部先生は語る。 「プログラミングを通して『学び方を学ぶ』ことが最重要」と阿部先生は語る。

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