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女性エンジニアキャリア特集

ねじガールの夢は、自分だけのねじ「瑠美スクリュー」——興津螺旋 佐野瑠美氏

きれいで安全な工場は、従業員が互いにする「おもてなし」

興津螺旋はステンレスねじでは国内トップの生産量を誇り、建築、住設機器、自動車、電気製品、ホームセンターなど、多くの業界で使われている。社員は約80人。そのうち約4割が女性という、製造業ではめずらしい会社だ。ねじ職人である「ねじガール」は現在6人で、来年度の採用で2人決まっているそうだ。

社長の柿澤宏一氏は「ねじ職人というだけで、無意識のうちに女性は『自分ではない』と壁を作っていたのかもしれない」という。佐野さんが職人として仕事をし始めたことで、壁が取り外された形となり、現場に異動した女性社員もいる。新規採用でも優秀な女性は多く、実際活躍するそうだ。「不良品を後工程に流さない。ねじガールは総じてそういう性質を持っている」と柿澤氏もがんばりを認めている。

女性が製造現場で働くことについて、柿澤氏は「工場は汚くてもしかたがないというイメージがある。そういう固定観念を排除したかった」という。製造現場で女性が仕事をすることをきっかけに、もっと工場をきれいにする。「それはおもてなし。女性だけではなく、すべての従業員に対するおもてなしと考えたら、工場はきれいでなければいけないはず」と柿澤氏は語る。

きれいにするだけではない。たとえば金型を削る手持ちの工具。女性でもけがなく扱えるように、直接工具を持たずに作業できる工作機器を作った。力が弱くても機械のボルトをきつく締められるように、ロングレンチを使うようにした。「女性目線で仕事を組み立て直すことによって、男性も楽になる」と柿澤氏。
女性の存在が職場環境にいい影響をもたらしている。

柿澤氏は最近のエピソードを聞かせてくれた。工場内に新たに女子トイレを作ることになったので、女性の意見を取り入れて設計してもらったそうだ。「まるで『トイレ付リビング』で……」と柿澤氏は笑う。しかし女性目線のよいアイデアは、男子トイレにも一部採用するそうだ。社員が発言し、いいものは取り入れるという社風の同社。社員の躍動が、製品の信頼を支えている。 

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